2015年3月 7日 (土)

95冊目 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

今週から久々に職場復帰して、無事一週間勤めることが出来ました。久々に同僚に会ったり、上司にあいさつ回りをしたりで、いろいろなことを一気に思い出した一週間でした。

本当にギリギリのところでふんばって職場復帰出来たので、健康であることを大事にして、ぼちぼち頑張ろうと思います。∠(`・ω・´)

仕事にも復帰し、また通勤時間を利用して本を読むことが出来るようになりました。

今回私が紹介するのは、

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 七月隆文 2014.8 宝島社(宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 七月隆文 2014.8 宝島社(宝島社文庫)

という本です。読書メーターで話題になっており、読んでみることにしました。

一目惚れをした。
いつもの大学までの電車の中で、ぼくは唐突に恋をしてしまった。
(P5)

大学生の南山高寿は、通学中に一目惚れした福寿愛美に勇気を出して声をかけます。そして、そこから2人の関係がスタートすることになります。

愛美は涙もろい女性でした。それに、彼女の言動には不思議なことがあって。。。

この作品は、是非余計な情報を得ずに、読んでみてほしいです。一度最後まで読んだら、もう一度読みたくなる作品に出合ったのは久々でした。

舞台は京都で、宝ヶ池や京都市動物園など、自分にとってはよく知っている場所が次々と出てきて、それだけで物語の中にするっと入っていけました。もちろん、京都に馴染みがない方にもお勧めできます。

また通勤中にうるっときてしまい、涙をこらえるのに必死でした。

文体も軽めで読みやすいので、さらさらと読んでいけるのに、心に残る、素敵な作品でした。

◎関連リンク◎

出版社「帯を変えたら売れ行き10倍になった」 ラノベ作家の一般文芸デビュー作がベストセラーに

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2015年2月20日 (金)

復帰!!

会社から連絡があり、三月からの職場復帰が正式に決まりました。

ここにたどり着くまでに数年、何度も諦めかけた社会復帰でしたが、家族の支えもあり、ようやく復帰できることに安堵しています。

職場にはお世話になった上司や、同期の同僚も多いので、新しい仕事ですが、早く慣れて、ずっと勤められるように、健康に留意して頑張りたいと思います。

この場を借りて、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。

これがゴールではなくスタートですが、しっかり次の一歩を踏み出してきたいと思います(*'▽')

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2015年1月25日 (日)

94冊目 『鹿の王 上・下』

まだまだ寒い季節が続きますが、みなさんお元気でしょうか。体調を崩されないよう、ご自愛ください。

今回私が紹介するのは、

『鹿の王 上』 上橋菜穂子 2014.9 角川書店 『鹿の王 下』 上橋菜穂子 2014.9 角川書店

鹿の王』 上橋菜穂子 2014.9 角川書店

という本です。上橋さんの本は、これまで『守り人・旅人』シリーズ、『獣の奏者』などを読んでおり、とても好きな作家さんです。

本作は上橋さんの最新の長編作ということで、すごく気になっていたので、文庫化を待たず、購入して読みました。

上橋さんの世界観はいつも緻密なほどに考え抜かれていてわくわくするのですが、本作の舞台となった世界も、人が実際にそこで根付いて生活しているのが感じられるものでした。

主人公のヴァンは、戦いに敗れ、東乎瑠(ツオル)帝国の奴隷として、過酷な地・岩塩鉱に囚われの身となっていました。周りで力尽きていく人々がいる中で、自身も徐々に弱っていくヴァンでしたが、ある日、岩塩鉱が黒い獣たちの襲撃を受けます。命を落とす奴隷たちの中で、何故か生き残ったヴァンは、もう一人生き残っていた幼子と一緒に岩塩鉱から逃亡することに成功します。

その頃、もう一人の主人公、医術師のホッサルは、岩塩鉱でおきた奴隷たちの集団死亡の調査の為、岩塩鉱にやってきます。そして、そこで、かつて国を滅ぼしたとされる恐ろしい伝説の病の痕跡を見つけ、唯一助かったと思われるヴァンを探すよう指示が出されることになります。

本作では、人間と病との戦いが物語の核となっており、人の命を、いや国を伝染病から救うために、どのように人間が病と向き合うかが詳しく書かれています。そのため、医療の分野で、現実にも行われているであろう製薬の方法や、病と向き合う医術師たちの奮闘の場面が多く描かれています。

それと並行して、伝説の病のカギを握ると思われるヴァンの逃避行も描かれていますが、さすが著者の上橋さんのこれまでの作品と同様、緊迫した場面や、人々との出会い、喜びや葛藤などの人間の心理描写が素晴らしく、読み手のこころが鷲掴みにされるようでした。

強大な帝国がその所領を増やさんと侵略する世界、侵略する側と侵略される側の思惑と悲嘆、病に命を落とすものと、生き残った者、そして命と向き合う医術と、古くからの信仰との背反など、いくつもの対立の構図が物語に凝縮されています。

タイトルの「鹿の王」については、後半で明らかになってきますが、その含意は読者に委ねられていると思います。

命の重さと天秤にかけられた、人々の思惑、裏で糸を引いている政治など、最後まで読者を飽きさせない物語でした。独特の物の名前を少しづつ覚えながら、鹿の王の世界に入って、じっくり味わってほしいなと思う作品でした。

私たちは、ひとりひとり、違うのよ。たしかに祖先から綿々と伝わってきたものはある。でもね、ひとりひとり、まったく違うの。どの命も、これまでこの世に生まれたことのない、ただひとつの、一回きりの個性をもった命なのよ。(下P303)

◎関連リンク◎

『鹿の王』上橋菜穂子 うえはし なほこ(角川書店)

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2015年1月20日 (火)

93冊目 『聲の形』

元気が出てきたので、久々に書評記事を書きたいと思います。

今回私が紹介するのは、

『聲の形』 大今良時 2013.11 講談社(講談社コミックス マガジン)

聲の形』 大今良時 2013.11 講談社(講談社コミックス マガジン)

という本です。『こえのかたち』と読みます。全7巻で、昨年12月に7巻が発売されて、完結したところです。

物語は、小学6年生の石田将也のクラスに、西宮硝子が転校してきたことから動き始めます。硝子は聴覚障害者でした。

日々、退屈なことを嫌い、仲間とつるんで元気が有り余っていた将也は、硝子に目をつけます。今まで関わったことのないタイプの硝子をからかい始めたのです。いや、将也本人にはからかいの自覚は無かったかもしれません。

しかし、将也の行為は次第にエスカレートしていき、硝子は共に卒業することなく、また転校を余儀なくされます。硝子が転校した後、今度は将也が仲間から「外され」、中学、高校と誰とも関わろうとせず、一人生きていました。

将也は決心します。6年生の時に離れて以来の硝子に会おうと。会って、命を捨てようと…。

1巻は読んでいて辛くなる展開です。感情移入したくなる人物がいない、子どもも親も先生も…。子ども時代のいじめは残酷です。ここまでやるか、誰も止めないのかと、読んでいて腹が立ってきます。

しかし、全7巻を読んだ今言えるのは、これほど人間の気持ちを揺さぶる、考えさせられる漫画は久しぶりだなと。

自らの過ちに気が付いたとき、人にはそれぞれの選択があります。忘れてしまうことも、気がつかなかったことにしてしまうことも出来る。しかし、将也の選んだ道は、二度と取り戻せない、あの小学生の日々と、そして自分が傷つけた硝子と、正面から対峙することだったのです。

いじめも聴覚障害も、両方とも重いテーマではあります。が、『聲の形』はそれを訴えたいのだけではないと感じました。もう取り戻せない過去とどう向き合うのかという人間としての選択、人生における時間の使い方、責任の取り方。。。

読み手は、『聲の形』の世界に入る中で、きっと自分自身をもえぐられると思います。だからこの作品を読まないという選択も出来ます。しかし、私は、この作品を多くの人に読んでほしいと思いました。

加害者と被害者、しかしそれは本当にそうなのか。簡単に分けてしまうことで見えなくなることがあるのではないか。人にはそれぞれ生きていくうえで、どうしようもないことがあります。だからこそ、人の声に耳を傾けることが必要ではないか。時には声なき声に。。。

『聲の形』に出会えたことに感謝します。

◎関連リンク◎

聲の形(マガメガ MAGAMEGA)

聲の形(1) [作]大今良時(BOOK asahi.com)

はっちの太鼓本 太鼓本だ~♪どどんがどんっ!

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2015年1月 5日 (月)

生きているだけで、春

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

数年ぶりに年賀状を出したところ、少しづつ返事を頂いて、懐かしい思いに浸ることができました。

近況としては、主治医から早期の復帰可能との診断を頂き、いよいよ職場復帰に向けて動き出すことが出来そうです。

明日は、数年ぶりに勤務先に出社して、今後の復帰に向けての説明を受けに行ってきます。

ここまで支えてくれた家族に感謝して、今年一年背伸びはせず、自分らしく頑張ります(*'▽')

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