« 1冊目 『たべもの語源辞典』 | トップページ | 3冊目 『雨の名前』 »

2006年1月22日 (日)

2冊目 『風の名前』

私の中・高生時代の夢は、「気象予報士」になることでした。お天気おじさんとして親しまれ、昨年亡くなられた福井敏雄さんに憧れ、高校に入学してからは自分で気象関係の本を買い込み、一時はその方向に進学することを考えていたこともありました。そんな訳で、今でも空を見上げては雲の流れをじっと眺めたりするのが好きで、気象には関心が高いです。

さて、今回紹介するのは、

『風の名前』 高橋順子 2002.5 小学館

風の名前』 高橋順子 2002.5 小学館

という本です。この本も図書館をぶらりと歩き回っているなかで見つけ、手に取って頁をペラペラっとめくり、借りることにしました。

この本は、高橋順子さんの風に関する知識の紹介・エッセーと、佐藤秀明さんが風を探す旅の中で撮った、美しい風景の写真で構成されているのですが、読み進むというよりは、頁をめくることで四季折々の風が豊かに感じられて、自分が知らなかった様々な風に思いを馳せることが出来ました。

四季の風として、春の風・夏の風・秋の風・冬の風、そして加えて季(とき)知らずの風と、5つの大きなテーマに分かれていて、聞いたことのあるものから、日本各地にその名を残すものまで、様々な風が収録されています。私は薫風が好きで、その季節になると意地でも文章中に入れてしまうのですが、この本を通じて新たに、心に残るたくさんの風に出会えました。

・「凱風:がいふう」(春の風) 「凱」はやわらぐの意で、南から吹き寄せる暖かく、快い風のこと。

・「花信風:かしんふう」(春の風) 早春から初夏にかけて、花の季節到来を告げるように吹くやさしい風。

・「青嵐:あおあらし」(夏の風) 「青嵐(せいらん)」の訓読。初夏の青葉をひるがえし、吹き渡る快い風。

・「秋の声:あきのこえ」(秋の風) もの寂しく、秋の詩情や情緒を感じさせる風をいう。

・「泰風:たいふう」(季知らずの風) 「泰」は、やすらか、ゆたか、ゆるやか、大きい、なめらか、といった意。西風。西風は物を豊かに成熟させることからいう。

『台風は、平安時代から「野分(のわき)」と呼ばれていたが、明治になり、英語の「タイフーン」の訳語である「颱風(たいふう)」と表記されるようになった』、という話は聞いたことがありましたが、これまで聞いたことがなかった面白いものを見つけました。

「風炎」

さて、これはなんのことでしょうか。本にはこうありました。

・「風炎:ふうえん」(春の風) ドイツ語フェーンへの当て字で、山から吹き下りてくる乾燥した暖かい風のこと。

当て字とはいえ、なかなかうまいなぁと感心してしまいました。

今冬は何十年に一度の厳しい寒さと言われ、吹き付ける風に身を縮める毎日ですが、そんな厳しい風にも、また優しい風にも、もし名前が付いていたら、また違ったものに感じられるのかもしれませんね。

◎関連リンク◎

風の名前(小学館)

・『風の事典』 関口武 1985.2 原書房

・『木枯の酒倉から・風博士』 坂口安吾 1993.2 講談社(講談社文芸文庫)

・『新編 風の又三郎』 宮沢賢治 1989.2 新潮社(新潮文庫)

・『萌えいづる若葉に対峙して』 辻征夫 1998.6 思潮社

|

« 1冊目 『たべもの語源辞典』 | トップページ | 3冊目 『雨の名前』 »

ことば」カテゴリの記事

自然・気象」カテゴリの記事

写真集」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2冊目 『風の名前』:

« 1冊目 『たべもの語源辞典』 | トップページ | 3冊目 『雨の名前』 »