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2006年4月20日 (木)

11冊目 『マザー百科 新装復刻版』

ファミリーコンピュータ(ファミコン)が発売されたのは、1983年7月15日のことでした。それから6年後の1989年7月27日、その後長く語り継がれることとなる、ある一本の名作ソフトが発売されました。それは、赤いパッケージが特徴的な「MOTHER」というソフトでした。今回紹介するのは、「MOTHER」の公式ガイドブックの復刻版である、

『マザー百科 新装復刻版』 エイプ 2003.7 小学館

マザー百科 新装復刻版』 エイプ 2003.7 小学館

です。なぜ、ゲームのガイドブックであるこの本をここで紹介するのか。それは、この本が、他のゲーム攻略本とは一線を画した、とんでもない魅力を秘めた本だからです。

『マザー百科』は「MOTHER」の攻略本ではなく、あくまで公式ガイドブックなのです。では、ガイドブックとは何か。辞書(大辞泉)で調べたところ、「手引書。また、旅行などの案内書。」と説明されていました。そう、『マザー百科』は、実際にある「MOTHER」の世界を旅するための案内書なのです。この旅で訪れることになる町の風景や歴史、町の人々の紹介が、驚くほど繊細かつユーモアを交えて綴られているのには、多くの人が感銘を受けることだろうと思います。

さて、「MOTHER」という壮大な世界が姿を現すのに、中心的な役割を果たしたのは糸井重里さんです。糸井さんの幅広い交友関係が、「MOTHER」を、そしてこの『マザー百科』をより深く豊かなものにしているのは確かだと思います。この『マザー百科』には多くの人がコメントを寄せているのですが、順に紹介すると、

鴻上尚史(劇作家)/橋本治(作家)/竹田青嗣(文芸批評家)/いとうせいこう(作家、マルチメディア・タレント)/井上陽水(歌手)/久美沙織(作家)/天野祐吉(「広告批評」発行人)/ホイチョイプロダクション/井崎脩五郎(作家、競馬評論家)/中沢新一(東京外国語大学助手 宗教学)/すぎやまこういち(作曲家)/南伸坊(イラストレーター)/宮本茂(「スーパーマリオ」プロデューサー・任天堂)/毛利公信(ファミコン名人)

注)肩書きは1989年当時のもの

という、そうそうたる顔ぶれであり、どの方のコメントからも深い味わいが感じられます。また、吉田戦車さんとみうらじゅんさんのイラストも掲載されています。

旅の案内がひとまず終わると、「MOTHER」で登場したグッズのカタログが載っているのですが、これも他の攻略本とは一味違っていて、絵ではなくすべて実物が載っています。あれは実際はこんなものだったのかと、驚いたり感心したり。

ここまで『マザー百科』について紹介を続けてきたのですが、実はまだこの本の魅力を語りきれていません。「MOTHER」世界の旅のガイド、グッズカタログ、PSI(「MOTHER」で主人公たちが使えるサイパワー)ファイルとページをめくっていったその次に、またもやとんでもないものが。

『MOTHER』によせる7つの証言 All About MOTHER と題した章が設けられていて、その内容はというと、

マザー人類学:キャスティングを愉しめ!(泉麻人)

マザー文学誌:子供もおもしろいし、大人はもっとおもしろい(高橋源一郎)

マザー映画学:スピルバーグがキーワード(鏡明)

マザー超能力論:『MOTHER』のサイパワーはほとんど現実にあるものだ(井村宏次)

マザー音楽夜話:ファミコン界のレノン=マッカートニー、堂々のデビュー(鈴木慶一・田中宏和)

マザーゲーム論:ゲームセンターのニモ(野々村文宏)

マザーCF論:コマーシャルは純真な子供たちをだますか?(一倉宏)

という、7つのマザー論が展開されています。これがまた非常に面白い!

さて、この『マザー百科』は、発売から長い時間が経っていたために、非常に評価が高かったにも関わらず入手するのは困難でした。しかし、2003年の「MOTHER1+2」の発売に合わせて、復刻版が発売されました。私は、1989年といえばまだ小学校低学年で、マザー百科の魅力もその存在さえも知らず、大きくなってからようやくそんな本があったことを知って、一度でいいから見てみたいと思っていたので、復刻版の発売は非常に嬉しいニュースでした。この復刻版の冒頭、糸井さんがこんなコメントを寄せています。

こんなゲーム本は、おそらくもう、いまの時代にはつくれないでしょう。ヒマとカネが、かかりすぎるからです。

だけど、こういう「馬鹿の結晶」のような本があったことを、ぼくはよかったと思っています。仕事って、『MOTHER』もそうだし、この公式ガイドブックもそうだけど、馬鹿と言われるくらいの情熱をこめたものが、人の心にしっかり届くのだと思うのです。

「MOTHER」が発売された1989年、ファミコンの世界では「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」という2大RPGが、すでに大きな支持を集めていました。そんな中で発売された「MOTHER」は、それまでのRPGとは一味違う、新たな世界を提示する作品でした。ゲームの舞台となったのは現代世界、ななめスクロールの移動は新鮮で、音楽も非常に質の高いものでした。「MOTHER」が見せてくれた新たな世界、それは一人ひとりのプレーヤーの心の中に「MOTHER」の世界を根付かせ、それはきっと今でも心の中にそっと存在している、そんな気がします。

「MOTHER」「マザー百科」「MOTHERサウンドトラック」、もしも可能ならば、私はこの3つを揃えることをお勧めします。一つひとつのクオリティの高さに加えて、ゲームと本と音楽が揃った時、『MOTHER』の世界がより魅力的なものとなるのは確かです。

1989年7月27日 MOTHER

1994年8月27日 MOTHER2

そして、・・・

2006年4月20日 MOTHER3

『MOTHER』の歴史が再び動き出す。

追記1:2006年4月21日(金)

最近、MOTHER3のCMがよく流れていますね。MOTHERのCMといえば、2が発売されたときに、キムタクが出演していたCMのことが強く印象に残っています。「♪マ~ザ~ツ~~マ~ザツ~~」っていうCMです。最初のMOTHERのCMもインパクトがあったようですが、これは見たことがありませんでした。(ネットで初めて見ました。)

MOTHER3のCMに起用された柴咲コウさんは、1981年8月5日生まれで、私も1981年生まれなので同学年なのですが、ポンズダブルホワイトのCMで初めて柴咲さんを見たとき(1999年)、とても同じ年齢とは思えず、ずっと大人っぽく見えました。当時、18歳か19歳だったとは驚きですね。

ちょっと話はそれますが、同学年というのは不思議と思い入れが強くなります。私は1981年4月~1982年3月の学年なのですが、同学年で最初に脚光を浴びたのは安達祐実さんだったと思います。「家なき子」がヒットしたのは小学生のときで、当時テレビで安達さんが大人になったらこんな容姿になるというのを予測していたのを覚えています。安達さんが何歳になったというたびに、テレビでは、もうそんな年齢になったのと毎回言われていましたが、同学年からすればちゃんと同じように年をとっているわけで、毎回またか~と思っていました。

これはその年に生まれた者にしか分からないことなのかもしれませんが、一つ上の学年には松坂大輔投手がいて、一つ下の学年には宇多田ヒカルさんがいて、二人とも若くして才能を発揮したわけです。同学年にも活躍している人は多いですが、代表する人を考えてみると、この人だということははっきりと言えません。そんなわけで、マルチに活躍している柴咲さんを私は応援しています。そんな偏狭な思考を取っ払って、柴咲さんの歌が好きなんですけどね。というわけで、少々脱線しましたが、MOTHERの歴代CMとリンクしておきました。う~ん、懐かしい。

MOTHER CM(YouTube)

MOTHER2 CM1(GamePressure)

MOTHER2 CM2(GamePressure)

MOTHER3 CM(任天堂)

追記2:2006年4月21日(金)

MOTHERでゲーム中に流れる曲は、本当にどれも素晴らしく、いい曲ばかりです。私は雪国で流れる「Snow Man」という曲が非常に好きなのですが、MOTHERのテーマ曲である「Eight Melodies」は本当にすごい曲で、ゲームの音楽としてこの曲と出会った後、十何年もの間、心に残って離れませんでした。「MOTHERサウンドトラック」では、完成版ともいえる合唱曲を聴くことができます。

その「Eight Melodies」が音楽の教科書に採用されていたことがあるそうです。ゲームの音楽が教科書に載るとは驚きですが、それだけ素晴らしいものであったという証明になると思います。教育出版株式会社『新版 音楽6』平成4年4月1日発行ということは、え~っと、平成4年に6年生やから、今は25、6歳…お~っと、これって1980年生まれくらいなのでは。ということは自分もひょっとしたら習っていたかもしれなかったのか。でも「Eight Melodies」が教科書に載っていたら絶対に覚えているはずやし、ふ~っ、残念なり。

関連GOODS(MOTHER On Line)

追記3:2006年5月9日(火)

繰り返しになってしまいますが、「MOTHER」の音楽は本当にすごいです。ゲーム音楽という枠を超えて、一つの芸術として成り立っているような気がします。そんな「MOTHER」の音楽について、『MOTHER 1+2 オリジナル サウンドトラック』の解説において、糸井さんがコメントを残していました。

「MOTHER」の音楽が、何度も聴ける、飽きないと言われるのには、わりあいにハッキリした理由があります。ゲームをやっているときに、何度も何度もくりかえし聴くことになるものなので、それを最初から意識してつくっているからです。

「MOTHER」の音楽が、気持ちいい、大好きだと言われるのは、つくった人たちがいい曲をたくさん聴いていて、それに負けないいい曲をつくろうと、たのしみながらがんばったせいです。ぼくも、おそれいりました。

さらに繰り返しになってしまいますが、「MOTHER」は「Eight Melodies」という名曲を生み出しました。これまた同じく『MOTHER 1+2 オリジナル サウンドトラック』の解説において、「Eight Melodies」に関するコメントが残されていました。

05 Eight Melodies(Toy piano Version sx)

8つのメロディが全部違う、2度と同じメロディは出てこない。そんな曲作った事なかったし、思いつくまでは、企画の恐ろしさに、とりかかっては、やめ、だった。でも、出だしを思いついたら、すーっと出来ていった。なんか、ある日突然、すーっと。(鈴木慶一)

23 エイトメロディーズ

マザー1の8メロは早い段階で決定、しかしマザー2の8メロは最後まで決まりませんでした。「えいっ!」とピアノの前に座り静かに出てきたメロディ。(田中宏和)

「MOTHER3」は、1・2の時のような音を集めるシナリオではありませんでしたが、「MOTHER3 愛のテーマ」という曲がゲーム中に繰り返し流れて、やはり音楽が重要な役割を果たしていました。3は、1・2とは雰囲気が異なっていましたが、でも、やはり「MOTHER」だと私は感じました。ゲームには、1・2のカケラが幾つもちりばめられていて、嬉しくなってしまいましたが、そんな私が特に感動をおぼえたのは、ある重要なシーンで流れた「16メロディーズ(はじまり)」という曲に対してでした。1・2・3の感動が一つになった瞬間でした。

「MOTHER3」には「SOUND PLAYER」がついていて、ゲーム中に流れる250もの曲を聴くことができます。シナリオが進むにしたがって曲名が明らかにされていきます。音楽がいいゲームなので、「MOTHER」プレーヤーにとっては非常に嬉しい機能でした。

MOTHER Original Music(STARMEN.NET)

追記4:2006年10月6日(金)

待ちに待った「MOTHER3」のCD、「MOTHER3+」の発売日が11月2日に決定したようです。これだけMOTHERのファンだと言っておきながら、情報をチェックしないでいた間に、着々とその内容について公開されていたようです。

「MOTHER3」には「SOUND PLAYER」がついていたので、ゲーム中の音楽は十分それで楽しめます。そのため、もしCDが発売されるとしたら何かあると思っていたのですが、何と「MOTHER3」のテーマ曲である「愛のテーマ」に糸井さんが歌詞をつけて、大貫妙子さんが歌った、「We miss you ~愛のテーマ~」が収録されているそうです。この取り組みは、今や伝説となっている最初のサントラを思い出しますね。個人的には「16メロディーズ(はじまり)」が収録されているのが楽しみです。今なら「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトで、11月4日までの期間限定で、「We miss you ~愛のテーマ~」を試聴できますよ~♪

ようこそ『MOTHER3』の世界へ!(ほぼ日刊イトイ新聞)

◎関連リンク◎

マザー百科[新装復刻版](小学館)

MOTHERの目次(ほぼ日刊イトイ新聞)

ようこそ『MOTHER3』の世界へ!(ほぼ日刊イトイ新聞)

MOTHER 1+2(任天堂)

MOTHER3(任天堂)

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今週の一冊 『マザー百科 新装復刻版』(サンクチュアリ出版)

・『バリューセレクション MOTHER 1+2』 任天堂 2006.2

・『MOTHER3』 任天堂 2006.4

・『MOTHER』 ゲーム・ミュージック 2004.2

・『MOTHER2 ギーグの逆襲』 ゲーム・ミュージック 2004.2

・『MOTHER 1+2 オリジナル サウンドトラック』 ゲーム・ミュージック 2003.8

・『MOTHER3+』 大貫妙子 2006.11

はっちの太鼓本 太鼓本だ~♪どどんがどんっ!

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