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2006年6月 1日 (木)

「変わらなきゃ」と「変わりません」

さてみなさん、これまでこのブログでは純粋に本の紹介を続けてきたわけですが、ずっとどうしようか迷っていることがありました。『本の紹介もしていきたいけれど、このブログで本以外にも気になることについて書いてみたい』という気持ちが沸き起こってきたこと。

非常に瑣末なことではありますが、管理人にとってはブログの方向性を揺るがすことになる、ちょっとした悩みの種となっていました。そして今日、一つの決断。自分の気持ちに沿って、「書きたいのなら書けばいい」という方針で、今後更新していくことにしました。

何とも仰々しい前書きになりましたが、みなさんにとっては、「あっ、やっと更新してる」程度の変化に過ぎないと思います。でも自分にとっては、この変化は、書く楽しみが増え、得意のlink&linkを生かして日々感じたことを残していける、大きな…いや、中くらいの変化になりそうです。そんなわけで、私はっちが綴る「はっちのアンテナ」をこれからどうぞ宜しく。

今日はこのブログの変化とも関わって、「変わる」というテーマで書きたいと思います。

「変わらなきゃ」という言葉が流行したのは、1995年のことでした。日産自動車のCMにイチローが起用され、「変わらなきゃ、イチロ・ニッサン」というコピーは、人々に強い印象を残しました。日産が企業として「変わらなきゃ」いけなかったことと、阪神大震災を経験し、また、経済の落ち込みの中にあった日本の閉塞感を打開するための「変革」を時代が望んでいたこと、そのような状況にあって、「変わらなきゃ」というフレーズは、一企業のコピーという枠を超えて、時代の空気を凝縮した言葉として、1995年の流行語大賞トップテンに入賞するほど人々の支持を得ました。その後、「変わらなきゃも変わらなきゃ」というコピーが登場したことは、「変わらなきゃ」という言葉が、時代の象徴として人々に共有される記憶となっていた証明になるのではないかと思います。

新語・流行語大賞 第12回(1995年)

では、「変わらなきゃ」から10年が経った今も、日本は「変わらなきゃ」を求めているのでしょうか。なんて書いてみましたが、私にはそこまで時代や人々を俯瞰するだけの器量は正直言ってありません。そこで、ここからは私にも分かる範囲のことで書いていきたいと思います。

岩波書店が今年、『岩波新書・新赤版1000点突破リニューアル』において掲げたコピーは「変わりますが、変わりません。」というものでした。装丁は一新しても、時代を経て貫いてきた姿勢は変わらない、そんな思いが込められたコピーです。

岩波新書編集部(岩波書店)

キリンビールは「時代は変わる。ラガーは変わるな。」をキャッチコピーとして、「キリン クラシックラガー」の広告を展開しています。

「キリン クラシックラガー」缶デザインをリニューアル(KIRIN)

キリンラガー CM情報(KIRIN)

これらから伝わってくるのは、「変わらない」ということに対する期待と信頼です。「変わらない」ことが肯定される状況というのは、作り手と受け手、双方が納得でき満足できる、「伝統」という高みにまで発展した状況だと言えないでしょうか。

5月14日、『笑点40周年だよ!さらば圓楽スペシャル!』がテレビ放映されました。映画を見てもなかなか泣けない私はっちですが、長年一緒にやってきて、お互いのことをよく分かりあったメンバー同士が、最後の最後まで毒を吐き合う姿を見ているうちに、涙が止まらなくなりました。「帰ってきたドラえもん」のことを思い出しました。

笑点40周年だよ!さらば圓楽スペシャル!(笑点web)

五代目司会になった桂歌丸師匠は、笑点のこれからについて、このように語っています。

番組が50周年を目指すに当たって『番組をこうしていこう』なんて考えはないですよ。変えようとしたらダメ。マンネリって呼ばれるのが、実は一番ありがたいんです。コレが一番長続きしますから。だから、今のまま、ある意味何もしないのが一番。(『ザテレビジョン』 2006 No.20)

時の流れが速く感じられ、いろいろなものが次々と生まれては消えていく。そんな時代の中で、「変わらない」ということが一つの価値として、人々に支持され、求められている、そんな気がします。

「変わること」が必要だ。「変わらないこと」に価値がある。これらは時代が移りゆく中で、何度も繰り返されてきた、人々のバランス感覚と呼ばれるものなのかもしれません。そんなところで今日はおしまい。

あっ、「なにかが違う。ピンポンパン♪」も、「変わりますが、変わりません。」まだ半年の伝統ですが(笑)

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