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2006年8月 6日 (日)

17冊目 『「野球」県民性』

8月に入り、長く続いた梅雨の季節をすっかり忘れさせてしまうくらいの、晴天・猛暑の日々が続いています。みなさま、屋内外の気温差で体調を崩されませんように。暑中お見舞い申し上げます。

さぁ、今年も茹だるような暑さとともに、いよいよこの季節がやってきました。夏の高校野球(第88回全国高校野球選手権大会)が本日ついに開幕しました。そして今日紹介するのは、高校野球を更に楽しむためのこの本、

『「野球」県民性』 手束仁 2005.8 祥伝社(祥伝社新書)

「野球」県民性』 手束仁 2005.8 祥伝社(祥伝社新書)

です。昔から大の高校野球ファンだった私は、野球の県民性なるものについての本が出版されると聞き、昨年の夏、発売されるとすぐに購入しました。

著者は「はじめに」で、本書のテーマである「野球県民性」について、このように記しています。

私自身も、全国各地の学校を訪れ、野球を観戦していく中で、各地の特徴や特色を感じてきたことも多い。それを自分なりの視点で分析しながら野球を見ていくと、選手にもチームにも、確実にその土地ならではの色があることが発見された。つまり、それぞれの県民性は、野球を通して見ることで、明らかに特徴づけられるのだ。「野球県民性」なる言葉があるのかないのかはわからないが、野球文化に風土の特徴があることだけは確かである。

それぞれの風土や土地の特徴に野球スタイルや野球人のプレースタイルを重ね合わせて見ることによって、新たな野球の楽しみ方も生じてくるはずだ。本書は、野球を一つの地場産業として捉え、県民性を語りながら考察をしていくことも一つの野球観戦の楽しみ方であるということを私なりに提案したものである。(P4-5)

本書では、47都道府県それぞれの地で、「野球がこれまでどんな道を歩んできたのか」、「県民と野球との関わりはどのようなものであるのか」といったことなどについて紹介されており、その内容はというと、北海道から沖縄県まで、まずはその県に住む人々の気質や傾向について記されていて、さらに高校野球を中心として、その地方を代表する野球人についてや、社会人野球、大学野球、少年野球の現状などが詳しくレポートされています。

各都道府県につき3~10ページずつ解説されていて、新書ながら計292ページとなかなかのボリュームがあります。たくさん記述されているのは、東京・大阪の10ページ、千葉・神奈川の9ページで、平均すると各県につき4、5ページくらいです。野球王国として名高い和歌山県についての記述はこんな感じです。

和歌山県は高校野球史の中でも大きな役割を果たしている。歴史上大きく見て、和歌山県は四度黄金時代をつくっている。しかも、それをことごとく異なる学校で築いているのだから、見事というか、素晴らしいというか、レベルが高いというか……。県の人口や産業などを比較してみた場合、これだけ全国制覇を成し遂げたのは、紀伊国屋文左衛門と松下幸之助に次ぐ偉業と言っていいのかもしれない。それだけに、和歌山県人にとって高校野球でつくりあげた時代というのは意味が深い。(P194)

ちなみに四度の黄金時代を築いたのは、戦前は、和歌山中(桐蔭高)、海草中(向陽高)、戦後は、箕島高、智弁和歌山高です。

本書にある著者のプロフィールによれば、野球を年間200試合観戦されているそうで、そのためか、その地方に住む人しか知らない、分からないような、高校野球や地元高への思いが各都道府県とも詳しく書かれていて、非常に面白かったです。例えば、今夏も埼玉県代表として出場する浦和学院については、このような記述がありました。

口の悪い埼玉県人の野球好きには、埼玉県勢の高校野球の意外な不振は浦和学院にあると言う人もいる。確かに素質に恵まれた選手が多く、事実、毎年のようにプロ野球に人材を送り込んでいる。素材力の高さは県内一であることは間違いない。それだけに、浦和学院に関しては代表になるだけでは許されないところがある。むしろ、県内では勝って当然、負けたら「何をやっているんだ」と言われかねない。それが彼らにとって余計なプレッシャーにつながり、そこで普通にプレーしていくことの難しさにつながっている。(P86)

代表校は県民の期待も大きいわけで、野球を「楽しむ」という次元とは別の世界で戦う大変さもあるようです。ともあれ、やっぱり地元の代表校が勝ち進むと嬉しいものですが。

日本における野球のルーツや偉大な野球人たちの足跡を辿ることが出来、また各地の高校野球の辿ってきた道と現状を知ることが出来て、満足の一冊でした。

ところで本書とは関係ない話ですが、この夏の高校野球は今年が第88回大会で、3年生は1988年生まれです。つまり、その大会で中心となる3年生の生まれた年(正確には年度)と、大会の回数が一致しているんですよ。

松坂世代と呼ばれる1980年生まれの世代が甲子園で3年生として活躍したのは、第80回記念大会でした。ということは、記念すべき第100回大会の中心にいるのは、2000年生まれの子どもたちということになります。まだまだ先の話ですが、今5、6歳の子どもたちが、将来逞しい球児となって甲子園にやってくる、その日が今から楽しみです。

ちなみに、この法則が通用するのは1946年の第28回大会からで、第1回大会は1915年にあったのですが、1941年~1945年まで戦争のために大会が中止されたために、この法則が生まれたのでした。

追記1:2006年8月20日(日)

夏の高校野球、試合観戦に欠かせない本といえば、週刊朝日・増刊号の『甲子園』です。私が持っているのは2002年の第84回大会の本からですが、ペラペラとめくると、新聞や「熱闘甲子園」を見て得た情報や試合結果が書き込んであり、いろんなことを思い出します。ちなみに、持っている5冊の背表紙はずっと「ビオフェルミン」でした。

今年の『甲子園』の編集中記が印象に残ったのでここで引用させていただきます。

女の子が選手として甲子園の土を踏む日はいつになるのでしょうか。そう思わずにいられないのは、この夏、高校野球の取材を担当している朝日新聞の記者の3分の1が女性だからです。かくいう私も、この増刊号の2人目の女性担当者です。お肌の曲がり角を迎えた身には、甲子園球場での日焼けが恐ろしくてたまりませんが、本大会終了後すぐに発売予定の「甲子園Heroes」もお楽しみいただけるようにスタッフ一同全力で取材活動に取り組みます。本誌・四本倫子(P186)

2006 甲子園(朝日新聞社)

◎関連リンク◎

「野球」県民性(s-book.com)

手束仁 Official Homepage

選手権大会(財団法人日本高等学校野球連盟)

激闘の記憶と栄光の記録

みんな、昔は球児だった(Yahoo!JAPAN)

Yahoo!ニュース 高校野球

第88回全国高校野球選手権大会(asahi.com)

第88回全国高校野球選手権大会(朝日放送)

第88回全国高校野球選手権大会(NHK)

熱闘甲子園(朝日放送)

おらが夏の甲子園。(ほぼ日刊イトイ新聞)

・『熱闘!高校野球47の勢力図』 手束仁 2005.6 アリアドネ企画

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