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2006年9月13日 (水)

「○○力」・「○っ○り」考

先日、本屋さんでたまたま見つけた『編集会議』(2006年10月号)という雑誌。「言葉力」の鍛え方という巻頭特集に惹かれて、思わず手にとってしまいました。編集者向けの雑誌ということで、「コピー力」「コピーセンス」がテーマとなっていましたが、なかなか面白かったです。

編集会議(宣伝会議)

編集会議 2006年10月号 特集立ち読み(宣伝会議)

で、特集の中で、特に興味深かったのが、「○○力」というタイトルの本が大流行しているという記事。実は私自身、毎朝新聞を捲りながら、次々と現れる新たな「○○力」を目にして、一体どれくらいあるんやろうとずっと気になっていたのです。

この記事で紹介されていただけでも、「患者力」「そうじ力」「昆虫力」「電車力」「上司力」「妊娠力」…などなど、なんでも「力」をつければいいってもんじゃないぞ~、と思ってしまうほど多種多様な「力」が出てきました。「○○力」本のブームは明治大学文学部の齋藤孝教授が発端では?と書かれていて、なるほど、齋藤さんの本のタイトルを見ると、「文脈力」「コメント力」「少年力」「段取り力」など、次々と新しい「力」が登場しています。

齋藤孝・「○○力」本(Amazon.co.jp)

実は数年前に、「コトバ」界のカリスマ(と私が勝手に思っている)、よみうりテレビの道浦アナが「○○力」について書かれていました。

ことばの話746「終盤力」(道浦俊彦の平成ことば事情)

「○○力」という形は造語力があるようで、実にたくさんの言葉があります。

と書かれているように、この「○○力」はまだまだ増えていきそうですね。

これまた先日、さて寝るかと床に就いた時にふと思ったこと。

『そういえば、「ゆっくり」とか「はっきり」とか、「○っ○り」のパターンの言葉っていっぱいあるなぁ。なんでやろ。』

翌日、ネットで検索してみると思わぬ結果が。疑問の答えそのもののことではなく、そのことについて書かれていたのが、またもやカリスマ・道浦アナだったのです。

ことばの話281「ぐっすり、どっぷり」(道浦俊彦の平成ことば事情)

「ぐんにゃり」と「ぐったり」(飯間浩明のことばのページ)

やっぱり言葉に関心がある人は同じ疑問を持つのだろうかと、ちょっと嬉しくなりました。もう一つの記事を書かれている飯間さんは早稲田大学に勤められている、日本語学の研究者で、お二人のサイトを以前から見ているのですが、道浦アナと飯間さんは時々交流されているようです。

本好き、そして図書館好きにはたまらない「世界の美しい図書館」のページが、ネットを駆け巡っています。

Hot Library Smut

世界の本棚(ひごろのおこない)

本当に荘厳で圧倒されますね。実際に建物と本を目の前にしたら、もっともっと迫力があるでしょうね。こんな場所に一度行ってみたいな~。

日本でおそらく今一番注目を浴びている図書館と言えば、福島県矢祭町の図書館でしょう。新しい図書館を作るにあたって、書籍の寄贈を募ったところ、全国からどっと押し寄せた本が、17万7500冊に達しているそうです。(9月11日現在)

寄贈書籍による図書館ということで、一体どんなラインナップになっているのかすごく気になります。

新設図書館の本、寄贈呼び掛け(福島県矢祭町)

蔵書買わず、施設建てない 福島・矢祭が節約図書館準備(asahi.com)

本と建物を生き返らせる『図書館』作り(情熱大陸)

追記1:2006年9月17日(日)

早速ですが、新たな「○○力」を発見しました。その名も「おじいちゃん力」。

タモリに学ぶ「おじいちゃん力」(Excite)

また新たな「○○力」を見つけたら、この記事に追記していきたいと思います。さらに、出版された「○○力」本で気になるものを、ここでピックアップしていく予定です。

「○○力」部分の50音順で載せています。同名タイトルの本が複数ある場合は、先に出版された方を紹介します。

・『異化力! 「英語でしゃべらナイト」の発想術』 丸山俊一 2006.6 日本放送出版協会

・『一新力』 一新塾 2006.3 文屋

・『思い出力」クイズ』 吉田正幸 2005.9 小学館

・『患者力」で選ぶいい病院』 伊藤隼也 2004.2 扶桑社

・『共鳴力の研究』 栗田昌裕 1997.4 PHP研究所

・『言葉づかい「敬語力」トレーニング』 生越嘉治 2003.3 あすなろ書房

・『孤独力のあるママが子どもを伸ばす』 武長脩行 2003.4 主婦の友社

・『昆虫力』 赤池学 2006.7 小学館

・『雑談力 誰とでも無理なく話せる』 東京メンタルヘルスアカデミーフレンドスペース 2003.11 明日香出版社

・『思いのままに脳を動かす「残像』 高岸弘 1997.8 講談社

・『昭和力」検定ドリル』 「昭和力」検定委員会 2006.9 世界文化社

・『人生カンタンリセット!夢をかなえる「そうじ力』 舛田光洋 2005.7 総合法令出版

・『ビジネス脳を鍛える電車力トレーニング』 野村正樹 2006.7 東洋経済新報社

・『どん底力』 小島宣隆 2001.12 角川書店

・『ニチゲー力 日大芸術学部とは何か』 山下聖美 2006.7 三修社

・『「水」でめざめる妊娠力 タラソテラピー生活術で、あなたの夢がかなう』 森本義晴 2003.8 ゴマブックス

・『夢現力』 和仁達也 2004.5 ゴマブックス

・『できる上司の「面談力!」』 菊池一志 2006.2 すばる舎

・『楽勉力」で子どもは活きる!』 親野智可等 2006.9 祥伝社

追記2:2006年9月17日(日)

本日2つ目の追記になりますが、1つ目の追記とはかなり違う方向で書きます。

「○○力」が氾濫していることについて、いろいろな方の記事を読んで、いかに自分が何も考えずに「○○力」を受け入れていたのかと、ただ今反省しています。これまで私は、なんにでも「力」が付けられ、「○○力」が氾濫している状況に対して、多少の違和感と安直さを感じつつも、言葉の持つインパクトと新鮮さに惹かれて、なんとなく面白い、分かりやすいと思っていました。しかし、よく考えてみれば、短い言葉に集約されて分かりやすいと思い込んでいた「○○力」は、実は言葉の定義も曖昧で、非常に不明確なものであることに改めて気づかされました。

「○○力」という言葉自体に対しては、集中力や行動力など、使い慣れているものも多く、言葉としての親しみを感じています。ただ、なぜこれほど「○○力」が氾濫しているのかという、社会的な背景にまでは、私自身思いを巡らせてはこなかったように思います。

読んで考えさせられた記事にトラックバックをさせていただきました。みなさんは、「○○力」が氾濫している状況に対してどう思われますか。私もこれから考えてみたいと思います。

◎関連リンク◎

276)力の流行(林風コラム)

○○力にご用心!(NAKAHARA-LAB.NET BLOG)

☆トラックバックさせて頂いた記事☆

○○力の氾濫(Nothin' But Trouble)

話す力、聴く力(カクレマショウ)

「○○力」というタイトル(編集プロのブログ日記)

『○○の失敗』と『○○力』(SSD通信)

多元化する「能力」と日本社会 ハイパー・メリトクラシー化のなかで(戸崎将宏の行政経営百夜百冊)

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コメント

 はじめまして。TB有り難うございました。
 やはり「○○力」の氾濫には違和感というか、食傷感を感じますね。たしかに「力」は造語力のあるWordではあるようです。しかし安直に使いすぎる。
 
 「力」に対しては「センス」ですね。対象の良し悪しを判別するセンス、自分自身の良し悪しを実感するセンス。力をつけるのもいいですが、センスを磨くことも必要だと思います。

投稿: きとら | 2006年9月18日 (月) 21:02

きとらさん、はじめまして。
コメントを頂きありがとうございます。

私はいろいろな言葉に関心が強く、「○○力」というものについて、
そのような力を身につけたいというよりも、
次々と出てくる「○○力」という言葉そのものにまず関心があり、
一体どれほどあるのだろうかという好奇心でこの記事を書きました。

同じように「○○力」というものに関心を寄せていらっしゃる人はいないかと、
検索をかけ、きとらさんの記事を含めて何人かの方の記事を読みました。
そうして記事を読ませていただく中で、
ただ面白いと思っていた自分とは違う視点、
なぜ「○○力」がこれほど氾濫しているのかということについて
考えたことがなかったと私は気づかされることになりました。

>「力」に対しては「センス」ですね。対象の良し悪しを判別するセンス、自分自身の良し悪しを実感するセンス。力をつけるのもいいですが、センスを磨くことも必要だと思います。

すごく考えさせられます。「力」と「センス」のバランス。
今は「力」がすごく強調されているように思います。
「センス」はつけるものではなく、磨いていくもの、磨かれていくもの。
自分自身の思考と鍛錬が必要ですね。

私は工場労働者なので、本当に「力」はつきますが、「センス」を磨くのはなかなか難しい状況です。

投稿: はっち | 2006年9月18日 (月) 23:55

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