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2006年11月 6日 (月)

22冊目 『旭山動物園園長が語る 命のメッセージ』

ずいぶんと長い間、動物園に行っていない気がします。いや、そういえば動物園に行った記憶がない?先日、図書館でふと目に留まったのが「旭山動物園」という文字。手に取ってみると、旭山動物園の園長さんの本でした。動物園といえば、今や「旭山動物園」と言われるくらい、マスコミでも取り上げられ、ドラマ化もされ、私もちょっと気になっていたので、早速読んでみることにしました。今回紹介するのは、

『旭山動物園園長が語る 命のメッセージ』 小菅正夫 2005.8 竹書房

旭山動物園園長が語る 命のメッセージ』 小菅正夫 2005.8 竹書房

という本です。

まず目次を見てみると、

はじめに

第一章 生き物に夢中だった少年時代

第二章 命を伝える動物園

第三章 生きる意味って何だろう?

第四章 動物から学ぶ親子の関係

第五章 考える力、発見する目

おわりに

となっています。

タイトルにもあるように、園長の小菅さんが語られたことが本になっているので、平易で読みやすい文章でした。内容はというと、小菅さんが動物たちと関わってきた中で学んできたこと、感じてきたことを、「命のメッセージ」として読者に投げかけるものになっています。全体を通して、人間社会が行き詰まってきている今こそ、動物の生き方、そして、その命から多くのことが学べるのではないかという強い思いが感じられました。

第二章の「命を伝える動物園」では、旭山動物園がどのような信念と思いによって現在の姿になったのかがよく伝わってきます。

もちろん命を伝えることは「こども牧場」だけではなく、旭山動物園全体の命題です。ですから、僕たちは、動物たちが弱って動けなくなって死ぬところまできちんと展示します。動物の老いも隠さないし、死を伝えることも全く厭いません。なぜかといえば、死を伝えることなくして、命を伝えることなどできないからです。(P55)

動物園で何かの動物の赤ちゃんが生まれたときだけ「生まれました!」と宣伝してお客さんを喜ばせ、いざ死にそうになったら、今度はかっこ悪いからと言って、奥にしまって見せないようにする。そして、その動物は人知れず死んでいく。そんなことをしていたら命は伝わらないと僕は考えています。動物は本当に堂々と死んでいきますよ。「じゃあな」と言って去っていくのです。(P58)

小菅さんは、自身が子どものときの様々な生き物との関わりを思い出しながら、現代の子どもたちと動物とが触れ合える機会が極端に減っていることを大変危惧されていました。そうした思いが、園内で直に動物と触れ合えるスペースが確保されていることに繋がっているようです。

子育てや家族のあり方について、そして小学校へのインターネット導入についての話は、その思いが分かると同時に、やや願いが先行しすぎて、現代社会の土台に根を下ろしていない、少し時代回顧的な印象も受けました。

もう少し、旭山動物園について詳しく知りたかったのですが、この本はタイトルに銘打たれているように、小菅さんの「メッセージ」なので、どのような思いで動物園に関わられているのかという、その気持ちはすごく伝わってきました。旭山動物園に関して、他にも本が出ているようなので、そちらも読んでみたいと思いました。もちろん、旭山動物園に足を運べたら、それが一番なのですが。

現代の日常生活でなかなか伝わらなくなってしまった「命」を、何とかして伝えたい。僕が今、旭山動物園の園長をしながらいつも心で願っているのはこのことです。(P16)

◎関連リンク◎

旭山動物園公式ホームページ

旭山動物園写真館(ほぼ日刊イトイ新聞)

旭山動物園:終了の夏期営業 入場者230万人超す(MSN毎日インタラクティブ)

be between テーマ:動物園(asahi.com)

・『「旭山動物園」革命』 小菅正夫 2006.2 角川書店

・『戦う動物園 旭山動物園と到津の森公園の物語』 小菅正夫 岩野俊郎 2006.7 中央公論新社

・『旭山動物園のつくり方』 原子禅 2005.4 柏艪舎

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