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2006年11月 2日 (木)

「○○学」考

これまで、書籍タイトルに見られる「○○力」「○○歳」「○○脳」に関しての記事を書いてきましたが、今回は「○○シリーズ」第4弾、「○○学」について書こうと思います。

「○○力」・「○っ○り」考(2006年9月13日)

「○○歳」本(2006年9月17日)

「○○脳」本(2006年10月24日)

『えっ、てゆうか「○○学」なんて普通やん。』と思われたみなさん、そうですよね~。世の中は「○○学」で満ちています。経済学に社会学、法学、教育学、工学、心理学…以下略。とにかく、いろいろな学問が存在しています。それで今日ここで触れるのは、いろいろな学問の中でも、まだ世間一般に広く定着していない、いわゆる新しい「○○学」についてなんです。

私の頭にまず思い浮かぶのが「失敗学」。畑村洋太郎さんが書かれた「失敗学のすすめ」に出会ったのは学生の頃。当時、教育学を学んでいた私は、子どもの時の失敗体験をもっと肯定的に捉える必要があると考えていました。そんな時、どこかで「失敗学」という学問があると知り、畑村さんの本を手に取ったのでした。またいつか、ちゃんと本の感想をここで書くとして、本を読んでみて、読み応えがあって、その内容に非常に共感したのを覚えています。

失敗を生かす「失敗学」(at home こだわりアカデミー)

これまでの記事で、「○○力」といえば、斎藤孝さん、「○○脳」といえば、黒川伊保子さんといえるのではないかと書いてきましたが、「○○学」といえば、畑村洋太郎さんではないかと私は思っています。畑村さんはこれまで、「失敗学」をはじめとして、「創造学」、「安全学」、「決定学」、「社会人学」、「危険学」と題した書籍を著されています。私は失敗学の本しか読んでいないのですが、「○○学」とすることで、その「○○」について、学問として、真面目に取り組む土壌が出来るきっかけになるのではないかと考えます。実際、「失敗学」に関しては、「失敗学会」も出来ており、「失敗」について多くの人が思考し、意見を交換し、知が集積されていくなかで、今後、「失敗学」という学問は、より広く社会に認知されていくのではないかと私は思います。

畑村洋太郎(Amazon.co.jp)

「希望学」という学問があります。その中心的な人物が、「ニート」を世に知らしめた玄田有史さん。希望学プロジェクトでは、希望学についてこのように書かれています。

希望学では、希望に関する普遍的な共通言語を構築し、個々が希望を考え行動するための事実に基づくヒントを提示する。そして最終的には希望を念頭においた望ましい社会政策の提案を目指し、分析を進めていく。

なかなか興味深い学問だと思います。「失敗学」では、「失敗」というものが誰にとっても、なかんずく企業にとって身近な問題であったために、より具体的で実用的な方向で活用され、学問としての必要性が増したのではないかと思います。「希望学」はその点、具体的にどうというのが難しいのかもしれませんが、今後どのような広がりと深さを伴なっていくのか、興味深く見守っていきたいと思います。

希望学プロジェクト

最近おっ、面白そうと思ったのが、「渋滞学」

渋滞学 西成活裕(新潮社)

「渋滞学」の書籍紹介を見てみると、

人混み、車、インターネット……世の中、渋滞だらけである。新しく生まれた研究「渋滞学」により、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。一方で、駅張り広告やお金、森林火災など停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。渋滞は、面白い!

とのこと。うむ、やっぱり面白そうだ。新しい学問は、面白そうだという好奇心によって支えられている側面もあるのかもしれませんね。

「○○学」として注目したいのが、地域の「○○学」。私にとっては地元の「大阪学」が最もメジャーだとの思いがありますが、最近では「東北学」の勢いを感じます。

〈東北学〉の5人の子(本よみうり堂)

地域誌 5県で産声(YOMIURI ONLINE)

「○○学」は、その全てが書籍として著されているわけではないのですが、面白そうな「○○学」を見つけたら、ここで紹介したいなと思います。ちなみに、左サイドのカテゴリにも「○○学」があるので、読んだ書籍はそちらで紹介します。

「○○学」部分の50音順で載せています。同名タイトルの本が複数ある場合は、先に出版された方を紹介します。

・『心を育てる赤ちゃん学入門』 白井常 1980.6 主婦の友社

・『希望学』 玄田有史 2006.4 中央公論新社

・『ぐうたら学入門』 名本光男 2005.10 中央公論新社

・『旅行業プロの苦情処理学』 梅沢功 1997.10 中央書院

・『幕末の交渉学』 藤田忠 1981.10 プレジデント社

・『失敗学のすすめ』 畑村洋太郎 2000.11 講談社

・『渋滞学』 西成活裕 2006.9 新潮社

・『職人学』 小関智弘 2003.11 講談社

・『ドラえもん学』 横山泰行 2005.4 PHP研究所

・『阪神タイガース学』 大谷晃一 1999.8 ザマサダ

追記1:2006年11月10日(金)

この記事を書いてから、いろいろと興味深い「○○学」を見つけました。

まずは、大阪工業大学の「淀川学」。淀川って全国的には知られているんでしょうか。関西ではメジャーな川です。「淀川学」について、取組の概要を見てみると、

この取組は、持続可能な社会の実現に向け、環境共生を基盤にしながら、環境負荷の少ないものづくりを実践できる技術者の育成を目指したものです。すなわち、本学が隣接する淀川下流域を、問題を抱えながらも豊かな自然を維持し、環境と人との関わりを実践する環境共生の場として活かし、身近な自然をフィールドとした体験・体得教育を通じて、持続可能な社会を実現できる技術者を育成するものです。そのために、淀川環境教育センターを工学部内に新設し、工学部各分野でそれぞれ独自に取り組んできた環境教育コンテンツを集約・再構成し、新たな環境教育プログラムとして「淀川学」を構築します。同センターでは、地域の行政機関や市民などと連携しながら、新しい環境教育プログラムや同メソッドを開発し、環境共生を実践できる技術者教育のためのコンテンツを創り上げます。さらに、淀川学教育の対象を学内にとどまらず、市民および近隣の小中高校生へと拡げていく計画です。

と記されています。なるほど、「淀川学」は環境教育プログラムで、実践的な取り組みであるといえるようです。文部科学省の「平成18年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に採択されています。

「淀川学(環境教育)の構築と実践~身近な環境から持続可能な社会を実現する取組」(大阪工業大学)

平成18年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム選定結果について 報告(文部科学省)

続いても文部科学省関連になりますが、「資源人類学」。資源人類学という言葉は、「資源の分配と共有に関する人類学的統合領域の構築」の略称だそうです。研究の概要を見てみると、

人類社会は象徴系資源と生態系資源という連関する二つの基盤のうえに成り立っている。この連関の様相を実証的かつ理論的に解明する人類学の新たな統合領域を構築することによって、天然資源のみならず、人工的二次的物的資源、さらには無形の知的・文化的資源をも包含する広義の「資源」の分配と共有をもって人類社会の根底的機序とするという視座を確立する。この基本的視座の確立は、地域社会、国家、あるいは国家を超える広域の人間社会の変容および適応という動態過程を統一的に分析することを可能にする。逆にまた視座の有効性は、こうした動態分析によって保証される。本領域は、人類学に新たな可能性を拓くとともに現代世界の周辺における動態的局面の根底的解明を目指す。

と記されています。ちょっと難解そうですが、「資源の分配」は人類にとって大きな課題と言えると思うので、面白そうだと思いました。…結局あまり理解できていません(汗)

資源人類学

続いて、東京大学の「社会基盤学」

社会基盤学とは,私たちが文明的・文化的な生活を営むために必要なあらゆる技術を含み,いわば人間が人間らしく生きるための環境を創造する大切な役割を担っています。加えて,今や地球規模の自然環境再生が重要なテーマです。

「社会基盤」がテーマなだけに、扱う領域も非常に広そうですね。

東京大学 社会基盤学科/社会基盤学専攻

今日紹介した「○○学」は、ちょっと堅い印象のものが並びましたが、また面白そうなものを見つけたら書き記したいと思います。

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