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2006年12月 3日 (日)

ようこそ山海さん

NHKで『課外授業 ようこそ先輩』という番組があります。この番組の内容について、番組のホームページで、

各界の第一線で活躍する人々が出身校である小学校を訪ね、その専門とする世界と自らの人生について授業し、後輩の子どもたちに熱いメッセージを送る…。落語家、芸術家、スポーツ選手、哲学者など、ジャンルを問わず第一線で活躍する人々が多彩な授業を繰り広げる。

と説明されているように、子どもたちの前に現れる「先生」は、本当に豪華な顔ぶれとなっています。私は毎回欠かさずに見ているわけではないのですが、面白そうだなと思ったときはリモコンの手を休めて、見ることにしています。

今朝、テレビをつけると『課外授業 ようこそ先輩』の再放送をしていたので、どんな内容かなぁとしばらく見ていました。今回の先輩は、ロボット研究者の山海嘉之さん。山海さんは、ロボットスーツHALの研究・開発をされていて、その道では第一人者として活躍されている方です。私は山海さんのことをこれまであまりよく知らなかったのですが、番組を見ていて大好きになってしまいました。もうすっかりファンです。山海さんのロボットが好きになったのではなく、山海さんのロボット開発への姿勢と信念、情熱、そしてなによりもその人柄に惚れてしまったのです。

山海さんはまず、ロボットの可能性、人の生活に役立つという側面を紹介した後、一方で軍事利用されれば人に危害を加えることに使われることもありうると、軍事利用されている様子を収めたビデオを子どもたちに見せました。一人の女の子が、「ロボットを悪いことに使おうと研究している人の心には闇が広がっていると思う」というような発言をしたとき、山海さんは涙を堪えきれず、目にハンカチをあてました。山海さんが番組中に何度も口にされ、大切だと言われたこと。それは「人を思いやる心」でした。

クラスで班毎にプロジェクトチームを立ち上げて、こんなロボットがあったらいいなというロボットを考えることに。各班とも、大きな紙にロボットの外見と機能を書いて発表します。発表のときに、他の班の子から、これはどうなっているのか、大丈夫なのかという、質問や疑問を出してもらいます。疑問を出されて、「あっ、そこまで考えてなかった」「そう言われるとそうだなぁ」と、受け入れられる子がいる一方で、「どうして何回も同じことを言われないといけないのか」と怒ってしまう子もいました。この年頃のときは、人からの指摘に対して、まるで自分を傷つけられているように感じてしまうことも多いと思ったので、怒ったり拗ねたりする子がいても仕方がないと思いながら見ていたのですが、山海さんは「人が言ってくれる意見は、しっかりと聞いた方が自分のためになる」と、自分の思いを優先してロボットを考えていた場所から、一歩離れて考えることの大切さを話されました。

その後、他の班から指摘されたことを改良するためにまたチームで話し合うことに。山海さんは子どもたちのアイデアに「すごいねぇ」「素晴らしい」と感心したり、またいい意見を誉めたりしながら各チームを回っていきました。山海さんの姿勢を見ていると、子どもたちに教えるという一方的なものではなく、積極的に子どもの意見を聞いて、より良いものを一緒に作っていこうという、同じ目の高さで子どもと向き合っていることが伝わってきました。

人のためになる、役立つロボット。しかし使う人が悪用すれば、それは人にとって脅威となる兵器になりかねません。実際、アメリカでの同時多発テロの後、山海さんに軍事利用するためのロボットの依頼があったそうです。山海さんは即座に断りました。山海さんにとって、子どもたちが人に役立つロボットを「こんな機能が欲しい」「こうしたらもっと良くなる」と、夢を持って語り合う姿は、まさに「希望」であったのだと思います。子どもの声にしっかりと耳を傾けて、それを受け入れ、励まし、誉める。その姿は本当に教育者として尊敬できる素晴らしい振る舞いでした。最後に、各チームが改良したロボットを発表して授業は終わりました。

久々に本物の授業を見た気がします。山海さんという人を知ることが出来たことが嬉しかったです。見てから録画しておけば良かったなぁと思いました。いい授業はもう一度見てみたいですね。2002年に放送された黒田征太郎さんの授業も素晴らしかったのを今でも憶えています。

◎関連リンク◎

課外授業~ようこそ先輩~(NHK)

SanLab(筑波大学)

CYBERDYNE

山海嘉之が挑む、介護でロボットスーツ「HAL」実用化(Tech総研)

注目の人 ロボットを考えることは、人間を考えること 山海嘉之さん(ロボナブル)

山海嘉之 ロボット工学博士(情熱大陸)

CYBERDYNE代表取締役・山海嘉之さん(社長たちの人生劇場)

筑波大学大学院教授 山海嘉之氏 「夢・情報・愛」が科学の根源(教育家庭新聞)

世界初のロボットスーツ開発(常陽リビング)

・『アイ・ロボット』 アイザック・アシモフ 2004.8 角川書店

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