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2007年1月19日 (金)

31冊目 『BRUTUS クール・ジャパン!?』

「なんしか、どないかせんなあかん。」

最近の私の口癖ですが、どないもならないことが多い今日この頃、否、過去・未来か。松坂世代を先輩に持ち、日本で暮らすこと四半世紀になりますが、メジャー行きが決まった松坂投手とは違い、ごくごく狭い世界を右往左往している私には、今「世界」は一体どんなもんかということを知る機会が殆どありません。そんな私が思わず手にとってしまったのが今回紹介する、

『BRUTUS 608 クール・ジャパン!?』 2006.12 マガジンハウス

BRUTUS 608 クール・ジャパン!?』 2006.12 マガジンハウス

という雑誌です。タイトルが示すとおり、「クール・ジャパン」特集が組まれているわけですが、「クール・ジャパン」って何でしょうか。

2002年、米国のジャーナリスト、ダグラス・マグレイが「日本のGNC」という記事を『フォーリン・ポリシー』誌に発表しました。GNCとは、国民総生産GNPのProductをCoolに置き換えたものです。彼は国力を経済力の指標ではなく、「どのくらいクール(カッコいい、魅力的)であるか」という指標で示すことを提案しました。そして、日本はGNCがきわめて高い国であると評したのです。この時彼が高く評価したのは、マンガ、アニメ、ゲームなどのポップカルチャーでした。

それをきっかけに今では、ポップカルチャーだけでなく、映画、音楽、文学、食、ファッション、建築、プロダクトデザインなどにまで範囲を広げ、日本の文化力が「クール・ジャパン」というコトバでくくられ、世界中で注目を浴びています。(P18)

ふむふむ、冷たいパンなお話ではなかったので安心しました。

特集のトップには「いつから日本はクールになったの?」という年表が載っているのですが、これがいきなり面白いです。日本文化としての北斎漫画がパリで「発見」された1856年から現在に至るまで、日本という枠組みを飛び出した日本文化と世界との関わりをザザザ~ッと一覧で見ることができます。

使い古されたステレオタイプの日本とでもいうべき、「サムライ」「ゲイシャ」「スシ」「フジヤマ」。この特集を読んで、それどころじゃない、世界はもっと日本を知っていたということに驚かされました。あらゆるカテゴリの日本文化が紹介されているのですが、私が関心を持ったものを挙げてみます。

え~っと、まずはケニアのナイロビにコロちゃんコロッケ初上陸という話題。「コロッケ」という新感覚の食べ物が家族連れやサラリーマンに大人気なんだそうです。クールな日本の国民食、それが「コロッケ」だ!

続きまして、タイが大変です。アニメ「一休さん」が1982年に紹介されて好評を博し、以来20年以上にわたって放映され、国民的人気を得ているそうです。さすが仏教の国ですなぁ。『このはし、わたるべからず』はどうやって翻訳されたのでしょうか、気になるところです。新右衛門さんの子孫が格闘技をしていると知ったらさぞかし驚くでしょうね。

イランでは日本の「クールビズ」が画期的で、クールだと注目されたそうです。「環境」や「エコロジー」の分野は、最近盛んに聞く「持続可能性」とも相まって今後ますます重要になってくると予想されますが、日本文化に織り込まれてきた「もの」を大切にするという精神の一端である「モッタイナイ」が注目されたように、「古さ」ではなく「良さ」に注目して日本文化を捉えなおすということの大切さを、『異文化からみた日本へのまなざし』をきっかけに教えられた気がします。

昨年話題になったのがイギリスでの「スードク(数独)」の大ブーム。ローマ字で「SUDOKU」と書かれていると、不思議と新鮮なものに思えてきます。特集で最も記事が割かれていたのが「モスクワ(ロシア)」での日本文化。空手や相撲に加えて、キティちゃん、村上春樹にアニメと、新旧入り乱れているようですが、その光景はとても新鮮なものでした。

というわけで、思っていたよりも世界は現代の日本をよく見ていたんだということを知り、面白く驚きました。(ぎゃぼ~)

「日本文化」を世界に映し出した「クール・ジャパン」について知るということ、それは日本文化の「新鮮さ」を逆輸入することで、自国のことを再確認することに他ならないことだと思いました。

特別付録として、描き下ろし作品「公園」が収録された、大友克洋BOOKがついてきます。

と、ここまでがこの記事の「起承」部分、ここからがさあ大変「転結」部分です。

こういった日本文化に関する特集や内容を見聞きする度に思うのは、自分が果たして日本文化に「参加」出来ているのか、ということ。例えば私が他の国へ行って、その国の人々から『「日本文化」を背負った日本人』という眼差しを向けられて、果たしてその期待に応えられるのかということ。

つまりは、アニメやゲームに携わるようなクリエイティブな仕事をしているわけでもなく、日本の伝統技術を受け継いだ高度な技もなく、そんな自分は一体どう「日本人」なんだろうということをどうしても考えざるをえないわけです。

空手や剣道、相撲もしないですし、和服を着ることも無い。和食は食べるのは好きやけど、自分で作れる料理はごく限られているし。そう考えていくと、畳の部屋があるとか、風呂に入るとか、箸を使うとか、かなり日常的なレベルまで持ってきて、そやけど果たしてこれ=日本?と自問自答することになってしまうのです。

正直、それを難しく考えていくことは私には無理なので、そういった日常レベルの衣食住環境も含めて、そういったやり方や習慣を享受して生活を送っていることも、文化の担い手だといえるんだと私は思うことにします、今から。

私の好きな日本文化、「コタツ」「高校野球」「大阪弁」「日本語」。

◎関連リンク◎

BRUTUS No.608(BRUTUS ONLINE)

クール・ジャパンの誕生(前編)―鹿鳴館主義を超えて―(文化庁メディア芸術プラザ)

クール・ジャパンの誕生(後編)―オリエントの片隅から―(文化庁メディア芸術プラザ)

“甲子園”米で映画化…「KOKOYAKYU」が完成(ZAKZAK)

Kokoyakyu High School Baseball(PROJECTILE ARTS)

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