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2007年1月15日 (月)

30冊目 『団地ともお』

子どもの頃って、どんなことを考えて毎日を過ごしていたっけ。

年を重ねるごとに、子どもの頃の何気ない疑問や発見、喜びや悲しみの記憶が少しずつ風化していくこと。お願い待って、もう少しだけ。

今日紹介するのは、団地に住む小学生たちの日常と非日常を、ユーモアを交えながら独特のタッチで描いた傑作マンガ、

『団地ともお』 小田扉 小学館

団地ともお』 小田扉 小学館

です。実は私も「ともお」の存在をつい昨年まで知らなかったのですが、ネットをうろうろしているときに、この作品を絶賛している人の書評に出合い、タイトルの「団地」にも惹かれて読んでみたのですが、これがもう…すごいマンガに出合ってしまった。

自分達の世界と陸続きであるようでありながら、どこか幻のような『団地ともお』の世界。1コマ1コマの細かいところまで芸が施されていて読者を飽きさせません。次々とやってくる激しい感情の振幅。台詞が無い、言葉の無いコマが「私」の内面に大いに語りかけてくるその一瞬。本当に、今一番読むのが楽しみなマンガです。

舞台は【枝島団地】。29号棟に住む「木下友夫」は、【枝島小学校】に通う小学生。みんなから「ともお」と呼ばれ、同じ【4年3組】の「吉本」「よしのぶ」「ケリ子」「みつお」「より子」たちと駆け回ったり語ったり笑ったり、そんな毎日。「ともお」の家族は、一緒に住む母「哲子」と、【枝島東中学校】に通う姉ちゃん「君子」、そして単身赴任中の父「鉄雄」。団地には個性豊かなたくさんの人達が住んでいて、「ともお」たちといろいろなドラマを織り成していきます。

マンガとの関わりというのは本当に人それぞれで、いろいろな楽しみ方があると思いますが、私は「団地ともお」に腹の底から笑わされ、考えさせられ、そして心を揺さぶられ、共感し、とにかく感覚を刺激されまくっています。

別にこんなつまらない私の戯言を書く必要はないと自分でも思いますが、「団地ともお」の世界には二つの「きづき」があるように思います。

一つは「気づき」。登場人物たちはハッと「気づく」のです。時に「己」というものに、そして自分自身の「感情」に。

正直、とてもじゃないけど小学生では気づけないよという気づきもあります。他者と関わっていく中で、成長し、自分を「客観的」に捉えられるようになる。そう、登場人物たちの「気づき」は、かなりの人間的な成長を見込まなければ気づけないのではと思えるものが多いのです。小学生の時といえば、まだまだ「夢中」で「入り込んでしまう」ことが多かった気がするのですが、「ともお」を含めて「ふと気づく」小学生、時には中学生や高校生達。そこには『大人になってしまった子どもの眼差し』とでもいうものが感じられます。

でもいいんです、だって読者が小学生とは限らないのですから。大人になった、なってしまった「私」は、小学生の「ともお」や仲間達に自分を重ねながら、時に懐かしく、時に新鮮に、その「気づき」を共有することが出来るのです。その瞬間がたまらなくいいマンガです。

そしてもう一つが「築き」。このマンガには多くの人々が登場し、彼らは一つの人間関係に留まらず、様々にその関係の糸を絡めあっていきます。そう、「団地」という舞台は、様々な個性的な人間が登場する上で欠かせない抜群の場なのです。正直、現実でこんな風に出会いや関わりがあり、深まっていくことは難しいと思います。だからこそ読み手である「私」は、次々と絡まり、織り成されていくその景色に、希望と喜びを自然と見出しているのではないかと思うのです。

単行本は現在8巻まで発刊されていますが、その中で自分が思い入れのある10話を書き出してみます。

1巻 第10話/運動会で神になれともお

「借り物競争」に向けて本気で練習するともお達が眩しすぎた。

1巻 第14話/秋にして父を想うともお

ともおと父さん、会いたいのに会えない。でもお互いに「思い」を形にして…。

3巻 第3話/花より団地ですよともお

結構島田さん的な考え方の私。いや、今回の島田さんはきっといつかの私。楽しいな。

4巻 第2話/有楽町で会いましょうともお

哲子と鉄雄、姉ちゃんえらいよともお。

4巻 第13話/お婆ちゃんで袋小路だともお

最後のオチで腰が砕けました。まさに笑撃のともおの婆ちゃん初登場。爺ちゃん…ファイト。

6巻 第4話/ハラペコより大事だぜともお

小学生の時は食が命だった。それにも勝る父への思いにウゥ…。

6巻 第15話/6も7もきっとあるぜともお

拝啓…ごあいさつにうかがいました…陰ながら…腹がイタイ~。

7巻 第5話/一発解決なのかともお

シンプルな答えがきっと本物、あまりにも深い人生の鍵。

7巻 第10話/ちょいワルかよともお

自分の立っている地点に悩む、悩む…うむ、悩みますなぁみんな。

8巻 第12話/敵に塩以外も贈るともお

「もっと悲しめ」。人間ってそんなに簡単じゃないよ。ケリ子の気持ち、分かると思った。

マンガやアニメでは「劇中劇」が大流行のようです。クレヨンしんちゃんの「アクション仮面」や猫村さんの「大仏刑事」、のだめの「プリごろ太」など、物語の中で物語られるスパイスのようなものですが、「団地ともお」には最強の「スポーツ大佐」が登場します。子どもたちに大人気で、アニメ、コミック、ゲームなどが次々と登場するのですが、これ単体でもウケるのでは?というくらいレベルが高いです。

以上、ちょっと熱っぽく長々と書いてきましたが、百聞は一見にしかず、ここを見ているよりも、一度読んでみてください的な話のくだりで終了だぞともお。

おまけ:主な登場人物を簡潔にまとめてみました。
意外と時間かかっちゃいました(汗)
↓クリックで大きくなります

Tomoo07z

◎関連リンク◎

団地ともお(小学館)

団地ともおまとめサイト(ブタ漫)

小田扉置き場

小田扉氏インタビュー(Amazon.co.jp)

「団地本」相次ぎ出版(YOMIURI ONLINE)

はっちの太鼓本 乱打太鼓本だ~♪どどんがどんっ!

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