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2007年7月28日 (土)

45冊目 『ドミノ』

子どもの頃、こんなことを考えたことがありました。日本中の人に自分の顔を見せたとき、果たして何人の人が知っていると手を挙げてくれるだろうかと。

500人くらい、いや1000人くらいかなぁ。死ぬまでに10000人くらいに達しているかなぁ、なんて。

日本には1億2千万人以上、そして全世界には66億人を超える人々が同じ時代を生きているということですが、実際に生涯を通じて交流できる人の数は微々たるものです。しかし、お互いに顔やどんな人かを知っていることとは別に、自分が知らないところで全く知らない人同士が何らかのカタチでつながっているということもまた事実です。そんな事実をユーモアたっぷりに描き出しているのが今回紹介する、

『ドミノ』 恩田陸 2004.1 角川書店(角川文庫)

ドミノ』 恩田陸 2004.1 角川書店(角川文庫)

という本です。本を手にすると、まず目に付くのがカバーのイラスト。これから始まる物語を予感させるカラフルでユニークなイラストに思わず見入ってしまいました。

普通の小説の始まり方とは違っていて驚いたのは、本編が始まる前に「登場人物より一言」というミニコーナーが設けられていたこと。そこでは総勢28人もの登場人物が、それぞれ何やら発言していましたが、この時点ではまだ何のことか理解できませんでした。が、物語を読み進めていくうちに、登場人物たちがそれぞれの個性を豊かに主張していたことに気づかされ、何度もこの一言コーナーと本編を行き来しては頷きました。

前半はいろんな場面にいろんな人物が次々と登場し、それぞれの世界を理解するために頁が費やされています。なんせ28人もの主人公がいるわけで、それぞれがその世界を生きていくために努力し、悩み、必死になっているのは当たり前のことなのです。ようやくそれぞれの立ち位置が分かってくると、物語は徐々に加速し始めます。

前半部はその世界ごとにちゃんと章が分かれていて、全く接点がないと思われていたそれぞれの物語でしたが、次第に登場人物たちの影が重なりあい始めます。

えっ、ここにこの人物が来た!この人も!そこにはあの人たちが!

全く違う世界にいたはずの人々が何かに導かれるように、引き寄せられていく、運命の糸が絡み合っていく展開、そしてそこに張り巡らされていたたくさんの伏線に気づかされたとき、あまりの面白さに頁を捲る手が止まらなくなっていました。

この物語は果たして「ちゃんと」無事着陸することができるのか。いやいや、そんな心配は無用でした。個人的には最後まで期待を裏切られず、最高の面白さを持続したまま終わりを迎えました。全体で100の場面に区切られていますが、その区切りかたが非常にうまくて、頭の中でうまく映像化することが出来ました。

いろんな世界を生きている人々の人生がドミノのように繋がり重なっていくのが本作品の醍醐味ですが、それもそれぞれの世界がきちんと描かれてこその面白さだと思います。その点、たくさんの登場人物がいるにもかかわらず、ちゃんと個性が描き分けられていて、それぞれの人物がちゃんと存在しているのはすごいなと思いました。私は数ある場面の中で、オーディションの場面が一番好きでした。

とにかく物語の中盤からの展開はテンポも良くてものすごく面白かったです。あまりの面白さに電車の中で笑いをこらえるのに必死でした。

◎関連リンク◎

ドミノ(角川書店)

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