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2007年8月 9日 (木)

47冊目 『檸檬のころ』

最近いろいろあって、ちょっと気分が落ち込み気味なのですが、それとは関係なく夏の読書に存分に浸っている今日この頃。通勤電車では早朝に学生がいなくなってしまったので、静かで空間にもゆとりが感じられますが、彼らの話し声が聞こえなくなった分を補うかのように、私は本の中の高校生たちと出会っていました。今回私が手にしたのは、

『檸檬のころ』 豊島ミホ 2007.2 幻冬舎(幻冬舎文庫)

檸檬のころ』 豊島ミホ 2007.2 幻冬舎(幻冬舎文庫)

という本でした。

本書は、

タンポポのわたげみたいだね

金子商店の夏

ルパンとレモン

ジュリエット・スター

ラブソング

担任稼業

雪の降る町、春に散る花

という7つの短編から構成されており、順番に読み進めていくと、「北高」を舞台としてそれぞれの物語が重なり合っていることに気づかされます。私が一番グッときたのは、「ルパンとレモン」。

秋元はもう、遠かった。少し前に秋元の横顔を隣で見ていたことも、頼りない記憶でしかなかった。秋元はもう俺に向かって笑わない。すれ違う時には、俺を無表情にじっと見て、先に目を逸らした。それでも俺は黙って秋元を見ていた。秋元は、俺の手の届かないところでどんどん綺麗になっていった。(P85-86)

中三の頃、同じ高校を目指すなかで近づいていった西と秋元の仲。しかし高校へ揃って入学したものの、二人はそれぞれの学校生活を送るなかでいつしか離れていってしまい…。

泣きたくなった。結局俺は秋元を困らせることしかできないのだと思って。けれども俺が泣いたりしたら、それこそ秋元を困らせるだけだから、ただこらえた。(P108)

これは西の気持ちがすごく分かってあまりにも心が痛んだために、またもや朝の通勤中に落涙してしまうはめになってしまいました。情けなくて、かっこ悪くて、うまくいかなくて、むちゃくちゃ悲しいのに、だからこそ生きているんだなって感じられて、いやはや豊島さんすごいって思いました。

「雪の降る町、春に散る花」は、先ほどの秋元さんが東京の大学に進学することが決まり、高校を卒業するまでの日々が描かれています。もう、あきません。こちらも最後の別れの場面でグッときてしまい…。ひとりの人間の中にもいろいろな感情、相反するものや割り切れないものがいっぱい詰まっていますが、最後は素直になれたら一番幸せかなと私は思いました。

素直に自分の気持ちを伝えることの難しさを改めて感じつつ、自分もそうありたいなと、この作品に出会えたことを嬉しく思いながら本を閉じました。

◎関連リンク◎

檸檬のころ(幻冬舎)

檸檬のころ -れもんのころ-

告知板としま

底辺女子高生 豊島ミホ(Webマガジン幻冬舎)

豊島ミホさんに聞く!(東京美入野会)

みんなの災害体験談を教えてくれ(ココログ:トラックバック野郎)

・『底辺女子高生』 豊島ミホ 2006.8 幻冬舎(幻冬舎文庫)

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