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2008年3月 9日 (日)

58冊目 『クリムゾンの迷宮』

はっ、はっ、はっ…っくしょいっ!!

ここで一句。

スギ花粉 飛散 悲惨すぎか ふんっ

びえ~ん 鼻炎に泣かされる

しく四苦 八苦しょん

昨年、住み慣れた大阪の地からほんのちょっと北上しまして、京都市に移り住んでみたところ、結構雪の日が多くて(時に吹雪もあり)参っちゃいましたが、雪の次は黄砂花粉の季節がやってきてしまったようです…。

ここからは、鼻声でお伝えいたします。

今回私が手にしたのは、

『クリムゾンの迷宮』 貴志祐介 1999.4 角川書店(角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮』 貴志祐介 1999.4 角川書店(角川ホラー文庫)

という本です。

私は実のところ、あまりホラーは得意ではないので、進んで読もうとは普段は思わないのですが、この本は評判がいいようで面白そうだったので手にすることとなりました。

何だ……これは。

藤木は、茫然として目の前の景色を見つめた。

どこだ、ここは。何で俺は、こんなところにいる……。(P4-5)

物語は藤木が意識を取り戻したところから始まります。現在置かれている異様な状態を理解するために、彼は懸命に記憶を辿りますが、思い出すのは家族や会社のことなど、ごく普通に生きる人間だったということ。

ごく普通に社会にいたはずの彼は今、奇妙な形奇妙な色彩の岩山に挟まれた峡谷のような場所で、ここへ来る前の記憶を失った状態で目を覚ましたのでした。

藤木のそばに置かれていたものは、わずかな食糧と水。

そして、携帯用のゲーム機…。

ゲームは開始された。無事に迷宮を抜け出て、ゴールを果たした者は、約束通りの額の賞金を勝ち取って、地球に帰還することができる。(P14)

状況が掴めないまま、藤木はゲーム機の指示に従って行動を開始します。移動の途中に人の姿を見つけた彼は、大友藍と名乗るその女性とともに目的地へと向かうことになり…。

やがて藤木と同じような状況に置かれた仲間達?と出会うのですが、彼らはどこかみな暗い部分を抱えているようでした。その暗さはやがて彼らを更に恐ろしい事態へと追い込んでいきます。

「誰か」によって仕組まれ、見られているこのゲームには、多くのアイテムが用意されていました。何を得るかで各々が別々の方向へ歩き出し、その組み合わせが自然とチームとなり、それが最後までこの「ゲーム」に影響してくることになります。

読み手である私達は、もちろん藤木が得ていく情報を頼りに、この異様な世界を理解していくのですが、藤木が情報を得ていくことで、逆に恐怖が増していくところにどんどん引き込まれていきました。

あの時の選択によっては誰がどの役割を担わされていたか分からないと思うと、物語とはいえ危機に直面して、自分ならどの道を選んだのだろうかと考えると、ゾッとしてしまいました。

作中、『火星の迷宮』というゲームブックがこの「ゲーム」とリンクしながらその存在を大いに主張します。ちょっと話の筋とは逸れてしまいますが、以前紹介した『実験小説ぬ』の記事でも書いたように、ゲームブックの面白さを改めて思い起こすきっかけになりました。

ホラーを読みなれていない私でしたが、進行していく物語を早く追いかけたくて、読む手を止めるわけにはいかなくなり、後半一気に読んでしまいました。

太陽が西の山脈の向こうに沈み、夕映えは、噴水の水を深紅色(クリムゾン)に輝かせる。

あなたは、いつまでも、噴水の脇に佇んでいる。

やがて、記憶は風化するだろう。

言葉にならない思いが、あなたの胸を締めつける。

TRUE END(P392-393)

◎関連リンク◎

クリムゾンの迷宮(角川書店)

「ゲームブック」が復活の兆し!?(Excite)

クリムゾンの迷宮は傑作か?・其の一(朝野十字)

26冊目 『実験小説ぬ』(2006.12.4)

・『青の炎』 貴志祐介 2002.10 角川書店(角川文庫)

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