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2009年2月28日 (土)

63冊目 『四畳半神話大系』

花粉症の人には辛い季節となっておりますが、個人的には昨年までの鼻への攻撃に留まらず、今年は目がやられてほとほと困っています。そんな、毎日がはっくしょん×3な私が今回手にしたのは、なんとも花粉を思わせるような鮮やかな黄色が使われた表紙の、

『四畳半神話大系』 森見登美彦 2008.3 角川書店(角川文庫)

四畳半神話大系』 森見登美彦 2008.3 角川書店(角川文庫)

という本でした。

作者は京大出身で、今や大人気作家の森見登美彦さんです。実のところ、先に『夜は短し歩けよ乙女』を読んで、その作風が非常に面白かったため、すぐさまこちらにも手を伸ばした次第です。

さて、目次を見てみると、

第一話 四畳半恋ノ邪魔者

第二話 四畳半自虐的代理代理戦争

第三話 四畳半の甘い生活

最終話 八十日間四畳半一周

となっており、タイトル通り、四畳半を舞台に物語が繰り広げられる模様です。

というわけで、いつものようにちゃんと並べられた順に読み始めました。これは、一つのポイントですよ。

物語の主人公といえるのは、下鴨泉川町にある下鴨幽水荘という下宿で四畳半生活を送っている私。私は現在大学三回生で、入学してからの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言し、大学入学当時の出来事を回想します。

新入生が大学構内を歩いていればとかくビラを押しつけられるもので、私は個人の情報処理能力を遥かに凌駕するビラを抱えて途方に暮れていた。その内容は様々であったが、私が興味を惹かれたのは次の四つであった。映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、そして秘密機関<福猫飯店>である。おのおの胡散臭さには濃淡があるものの、どれもが未知の大学生活への扉であり、私はなけなしの好奇心でいっぱいになった。どれを選んでもとりあえず面白い未来が開かれると考えていたのは、もはや手の施しようのない阿呆としか言いようがない。(P8-9)

結局、私は映画サークル「みそぎ」に入ってみたものの、その雰囲気に馴染めず、サークルで出会った同学年の小津という不気味な男と出会い、現在に至ったのでした。サークルの先輩である、相島や城ヶ崎への天誅を小津と計画して実行したりと、破綻してしまっている大学生活を送る中で、私は妖気をまとった占い師の老婆に出会い、「コロッセオ」が好機の印であるとのお告げを受けます。果たして、「コロッセオ」が指すものとは何だったのか…。

物語は、小津の師匠である樋口や、映画サークルに在籍している一つ下の学年の明石さん、そして蛾の大群をも巻き込みながら、さらさらと鴨川の流れのように進んでいきます。果たして私は、「薔薇色のキャンパスライフ」をこの手に握ることが出来たのでしょうか。そして、第二話へ。

…ん?あれ?頁を捲ってもまだ状況がつかめない私(←これは読み手の私です)。ほうほう、なるほどそういうことですか。思い返せば、第一話でそんなことを私(←こちらは作中の私です)が何度か言ってましたねぇ、『もし~』とか。

まだ未読の方のために詳細は書けませんが、正直ここからが面白かったです。読み進むほどに、話も登場人物も厚みを増していく感覚。そして最終話に至って、読者は思わぬ史上初?の貧乏くさいパラレルワールドへ引きずられていくことになり、作中の私も自分の置かれた世界の意味に「気づく」のです。

いやはや、この四畳半生活にどっぷりとつかってしまったために、今後、森見さんの作品世界で暮らしていくことになりそうな私が現場からお伝えしました。あっ、そうそう忘れちゃいけません。物語の核心ともそうでないともいえる小道具たちが作中いろいろ登場するのですが、中でもスポンジ熊の「もちぐま」、あれはナイスネーミングっ!と作者に喝采の拍手を送りました。

◎関連リンク◎

四畳半神話大系(角川書店)

今月の編集長フェア 角川文庫創刊60周年記念企画(森見登美彦)

作家の読書道:第65回 森見登美彦さん(WEB本の雑誌)

この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

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