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2009年10月25日 (日)

82冊目 『二十一世紀に生きる君たちへ』

光陰矢の如し。

ついこの間、21世紀になったと思っていたら、早や今年でゼロ年代は終わり、来年には新たな10年代へと時代は移ります。私は時間の浪費家だという自覚があるため、これは何か考えなければいけないという危機感から一冊の本を手にしました。

今回私が紹介するのは、

『二十一世紀に生きる君たちへ』 司馬遼太郎 2003.4 司馬遼太郎記念館

二十一世紀に生きる君たちへ』 司馬遼太郎 2003.4 司馬遼太郎記念館

という本です。この本は数年前にテレビで取り上げられて話題になりましたが、私が手にしているのは、祖父が司馬遼太郎記念館で購入してきてくれた、記念館でしか販売されていないものです。

目次を見ると、

二十一世紀に生きる君たちへ(原稿)

二十一世紀に生きる君たちへ

人間の荘厳さ

洪庵のたいまつ

発刊にあたって

となっており、巻頭で司馬さんの直筆の原稿を見ることが出来ます。

二十一世紀に生きる君たちへ

「二十一世紀に生きる君たちへ」と題した文章は短くも、司馬さんの思いが詰まった作品であり、それは直筆原稿に残る、推敲を重ねた跡からもうかがうことが出来ます。

二十一世紀に生きる君たちへ

歴史とはなんでしょう、と聞かれるとき、

「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです。」

と答えることにしている。(P28)

生きる時代は違っても、人間は生まれてから、何かを得ながら、失いながら、学びながら、忘れながら、考えながら生き、そして何かを残し、伝えて死んでいく。

この作品は、もともと小学六年生の教科書用に書かれた作品です。つまりは、自分が見ることが出来ない二十一世紀という新しい時代を生きる、子どもたちに向けたメッセージです。司馬さんが次の時代を生きる人々に伝えたかったこととは。

想像しました、もし自分が何かを伝えたいとすれば、何をどうやって伝えるかと。これは非常に難しいことだと思います。何故なら、何を伝えるかということは、即ち自分自身を深く深く見つめる多くの時間と精神力を伴うからです。

自分が生きてきて、次の世代に本当に伝えたいこと。それは人間の生き方や生き様そのものが一番多くを語るのかもしれません。だとすれば、この作品で司馬さんが語ることは、まさに司馬さんの生きることそのものであると言えると思います。今後、司馬さんの作品を読むとき、その思想の根本はこの作品にあるのだということを頭の片隅に置き、読んでみたいなと思います。

「人間の荘厳さ」に書かれた、真新(まっさら)の、自分だけの心の充実という人間の荘厳さには私自身、深く共感するものがありました。

何かを伝えるということは、すなわち自分自身の哲学を、生き方を築いていくことだと深く認識させられた作品でした。また折に触れて、自分自身を省みるうえで読みなおしていきたいです。

もう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。自分にきびしく、相手にはやさしく、とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして〝たのもしい君たち〟になっていくのである。(P40)

◎関連リンク◎

司馬遼太郎記念館

文学碑(司馬遼太郎記念館)

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