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2009年11月22日 (日)

83冊目 『ファイトじじいクラブ』

…二人の祖父に捧ぐ

過日、11月1日、母方の祖父が天寿を全うし、この世を去りました。

初孫だった私は、妹と共に幼いころからずいぶんと可愛がってもらい、今もたくさんの楽しかった思い出が心に残っています。奇しくも、『二十一世紀に生きる君たちへ』を贈ってくれた祖父を思いながら、感想記事を書いたのは先月末のことであり、その矢先の急な出来事で、正直なところかなり動揺しました。

ちょうど5年前に父方の祖父も他界しましたが、私にとって越えるのが大変だった10代の半ばから終わりにかけてを支えてくれた、二人の祖父には本当に感謝の思いでいっぱいです。

あの一番苦しかった時の家族の支えなくして、今の私の社会生活は到底考えられませんが、あの頃みんな健在であった、4人のおじいちゃんとおばあちゃんには、生きるということ、そのものを教わり、これからもそれを心の中に大切に抱いて生きていきたいと思います。

実は、祖父が亡くなる少し前に、私はある本を書店で見つけ、その内容に心を打たれて、ここで紹介しようと思っていたのですが、まさかこのような形になるとは思っていませんでした。

祖父がいなくなってしまった寂しさを感じながら、そしてずっと可愛がってもらったことに感謝の思いをこめて、今回私が紹介するのは、

『ファイトじじいクラブ』 山本健太郎 2009.9 エンターブレイン(BEAM COMIX)

ファイトじじいクラブ』 山本健太郎 2009.9 エンターブレイン(BEAM COMIX)

という本です。

祖父は読書家で、愛用していた単車で頻繁に図書館へ通っていて、家にもたくさんの蔵書がありました。今でも家族みんな、それぞれ趣味は違えど本が好きなことに変わりはありませんが、祖父は私が子どものときから、この本は読んだ方がいいと、たくさんの本を勧めてくれました。

私は以前は、読書したり本を買うということにそこまで力を入れていなかったのですが、働き出して、自分で賃金を得るようになってから、本を読むこと、本を買うことに拍車がかかり、今に到っています。

本を買って、中に目を通してから、『あっ、失敗したな…、とほほ』と思うことも時々ありますが、後悔をおそれていたらいい本と出会う機会を逃してしまうかもしれないと思い、本だけは惜しまず買うことにしています。

それで、この本を書店でぱっと見かけた時、作者も聞いたことがないし、宣伝も見たことがなかったのですが、タイトルと表紙の挿絵に何か感じるものがあり、期待半分で手にしたわけです。すいません、今回はかなり前書きが長くなってしまいましたが、いよいよ中身を紹介します。

目次を見ると、

ファイトじじいクラブ

空の下の人々

人になる

目堂君は幸せ

シショーカムバック

という5つの短編が収められており、表題作である「ファイトじじいクラブ」は100頁ほどの中編となっています。

小学校1年生のリュウ太君は毎晩不思議な夢を見ていました。夢の中では二人の祖父が本気で決闘していて、夢から覚めると両親に、今日は父方、母方どちらが勝ったと伝えるのです。

リュウ太君は、学校で上級生がケンカを売ってきても、祖父の決闘の姿を思い出し、怯むことなく挑みます。でも…まだ1年生、力でも体格でも劣るリュウ太くんは負けてしまうのですが、この夜も夢に二人の祖父が現れて、リュウ太くんを励まします。

なぜ毎晩夢の中で、祖父二人は決闘し、その姿をリュウ太君に見せているのか。そこには悲しい理由があったのです。

リュウ太君が生まれるのを楽しみにしていた二人の祖父は、その出生を感じ取りながら、時を同じくして亡くなってしまったのです。以来、夢の中で生き様を伝え、リュウ太君の成長を見守るために、決闘を繰り返していたのです。そんな祖父の思いをちゃんと受け止めて、リュウ太君は立派に成長していました。決して怯まずいろんなことに立ち向かうリュウ太くんでしたが、両親が離婚するという大きな出来事を前にして、ある決意をするのでした…。

思いがけず、素晴らしい作品に出会ったと思いました。リュウ太くんの健気さと祖父の思い、その両方に涙腺が緩んで、この作品がとても愛おしく感じました。

他の4つの短編について、表題作に比べると、画も若干洗練されていない部分を感じつつも、独特の世界観があって、どの作品も共通して「切なさ」を感じさせられるところが印象に残りました。

「空の下の人々」を読んで、井上陽水さんの『傘がない』を思い出しました。

著者の山本健太郎さんは、まだ他の作品を出されていませんが、これから注目していきたいなと思います。

そして私は、これからも本を読んでいきます。

父方 母方 ありがとう(P73)

追記1:2010年2月14日(日)

今月発売の、『ダ・ヴィンチ 2010年3月号』の中で、日本で初めてマンガ学部を設立した京都精華大学マンガ学部の特集記事があったのですが、卒業生として、山本健太郎さんが紹介されていました。

1982年京都生まれということで、年も近かったんですね~。厳密には、山本さんはマンガ学部の前身である、芸術学部マンガ学科を卒業されたようです。

ところで余談ですが、いつもなら発売日をしばらく過ぎても本屋さんに置いてある『ダ・ヴィンチ』が数日後には置いていなくて、少し大きい書店に探しに行ってきました。なるほど、今月は堺雅人さんの特集記事が巻頭で組まれていました。う~む、恐るべし。誰の特集記事を組むかで、販売部数も相当左右されるんだろうなと感じさせられた出来事でした。

◎関連リンク◎

ファイトじじいクラブ ビームコミックス(株式会社エンターブレイン)

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はっちの太鼓本 太鼓本だ~♪どどんがどんっ!

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