カテゴリー「食文化」の7件の記事

2009年10月21日 (水)

81冊目 『花散らしの雨』

今年、世界中で猛威をふるっている「新型インフルエンザ」。私の勤め先でもとうとう社員の感染者が出たようで、一気に拡がってしまうことのないよう、こまめな消毒とマスク着用が呼びかけられています。

思い返せば、自身にとっては最後に季節性インフルエンザにかかったのは高校1年生の冬でした。40℃を超える高熱にうなされましたが、不幸中の幸いというべきか、休んでいる時に長野冬季オリンピックの開会式を見ることが出来て嬉しかったことを思い出します。

さて、今回私が紹介するのは、先日紹介した『八朔の雪』に続く、みをつくし料理帖シリーズ待望の第二作、

『花散らしの雨』 髙田郁 2009.10 角川春樹事務所(ハルキ文庫)

花散らしの雨』 髙田郁 2009.10 角川春樹事務所(ハルキ文庫)

です。今月15日の発売日、仕事帰りに本屋に立ち寄り、なんとか見つけることが出来た時、ほっとしました。驚いたのは発売日にして第二刷発行となっていたこと。『八朔の雪』が巷で評判になっているだけに、発売前にして増刷を決定していたのでしょうか。

早く読みたい、でも急いたらもったいない。

というわけで、いつものスタイルで通勤中にちょっとずづ読みました。案の定、仕事前にうるっときてしまいましたが。

前作では、澪の豊かな発想と周りの人々の協力によって、少しずつ「つる家」に澪の料理を楽しみにやってくるお客さんが増えてきたところで、付け火によって店が焼失してしまい、そこからもう一度「つる家」を再建しようというところで幕を下ろしましたが、今作では、新たな「つる家」を武家屋敷が広がる元飯田町に再建し、澪や種市らが店を切り盛りしているところから話が始まります。

目次を見ると、

俎橋から――ほろにが蕗ご飯

花散らしの雨――こぼれ梅

一粒符――なめらか葛饅頭

銀菊――忍び瓜

巻末付録 澪の料理帖

となっています。

澪を取り巻く、各々に個性があり、そして背負っているものがある登場人物たち。前作から引き続き登場する面々に加えて、今作でも印象の強い、そして今後話の中で活躍していくであろう人物が何人か登場します。

その中でも、苦労の絶えない澪と重なるところがある「ふき」という少女が登場するのが、今作の最初の物語である「俎橋から」です。

江戸の料理番付で大関の地位にありながら、幾度とその暗部の一端を覗かせてきた「登龍楼」。これまで様々な仕打ちに屈することなく料理を続けてきた澪でしたが、新たに「つる家」で下足番として働くことになった「ふき」との関わりによって、とうとう直接対決に臨むことになります。

誰しも簡単には口に出来ない色々な事情を抱えている、そしてそれを悪用しようとする輩がいる。「ふき」の姿に自身の苦労した少女時代を見た澪は、裏で不審な行動をしている「ふき」を責めようとはしませんでした。澪の「ふき」への思いやりは、裏で糸を操っている者への怒りへと転じます。

これまでやれ孫だ、子どもだ言われていた澪でしたが、「ふき」から「澪姉さん」と呼ばれて、くすぐったいような笑顔を見せる場面では、こちらも澪の表情が想像できて、思わず微笑んでしまいました。

共に働く仲間、仕入先、お客さん。澪の周りにはどんどん新たな素敵な出会いが広がっていきます。個人的には「りう」という、一時「つる家」で手伝いをすることになったおばあさんが強く印象に残りました。老獪ともいえる振る舞いと的を射た言葉の数々に、また登場してほしいなと思いました。

そんな日々の中で、大切な仲間に病魔が忍び寄ります。現実の世界で拡がるインフルエンザ、作中では麻疹が命を脅かそうと猛威をふるいますが、澪をはじめとする登場人物たちの思いやり、揺るぐことのない深い愛情によって、そんな危機的な状況を乗り越えようと、病と必死になって対峙する場面が描かれます。

危機を乗り越える度に、その絆はより強固なものになっていき、いつしか皆が澪にとって家族のような存在になっていきます。前作で謎を多く残した小松原でしたが、今作ではなかなか活躍する機会がなかったようです。しかしながら澪にとってその存在は日増しに大きくなっているようで、この謎の侍についてあまり多くを語らずなところが、今後のこのシリーズの布石となるのかなと期待してしまいました。

相変わらず澪の作る料理はどれもが美味しそうで、一体なぜでしょうか。出来上がったものを見るだけでなく、作る過程から追っているから、より現実的に想像出来てしまって、読者としてはやられてしまうのかもしれないですね。本当にこのシリーズ、今後の刊行が楽しみです。

文庫本の帯に「文字が大きくなりました」と書かれていて、確かにやや大きめになっているので、どの世代でも更に読みやすくなったと思います。本作のはじめに、これまでに登場した「つる家」をはじめとする店や寺社の位置関係が分かる地図が載っていて、思わず見入ってしまいました。

最後に、これまでの二作を通じての登場人物を整理して、次回作を楽しみに待ちたいと思います。

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:幼くして水害により両親を失い、かつての奉公先の「天満一兆庵」を再建することを目標として、「つる家」の調理場を切り盛りしている本作品の主人公。小松原のことが気になっている。子どもの頃、易者・水原東西に、「雲外蒼天」の相と言われる。齢一九。
(澪、お澪坊、下がり眉、澪さん、澪姉さん)

「この道で花を咲かせることが、私があの水害で親の命と引き換えに生き残った理由のように思えてならんのだす」(八:P129)

種市:今は亡き娘の名を冠した「つる家」の店主として、澪を実の娘のように温かく見守る存在。腰を痛めて蕎麦を打てなくなってしまい、「つる家」を澪に託した。齢六十五。
(旦那さん)

「人間、生きてりゃ泣きたくなるくらいのことはあらぁな。泣いて良い、泣いて良いのさ」(八:P54)

:大坂で名の知れた料理屋「天満一兆庵」の女将だったが、店が焼失してしまい、「天満一兆庵」を再建するために、行方不明になっている若旦那で息子の佐兵衛を探している。澪にとっては幼いころの命の恩人であり、母ともいえる存在。心労で体を弱くしてしまっているが、その器量の大きさや機転のきかせ方、一本筋の通った言動は、さすがは元女将と周囲に言わしめるもの。齢四十八。
(ご寮さん)

「せや。料理は料理人の器量次第や。」(八:P223)

小松原:「つる家」の常連の侍だったが、店が元飯田町に移ってからなかなか姿を見せなくなった。澪の料理に対して、これまで鋭い指摘をしてきた。どこに仕えているのかなど謎が多い。齢三十前後。
(小松原さま)

「江戸っ子は諦めの良さが身上だが、それを見習うなよ。あれこれと考え出せば、道は枝分かれする一方だ。良いか、道はひとつきり。それを忘れるな」(八:P147)

永田源斉:若き町医者。御典医・永田陶斉の次男だが、「父は父、私は私」と、一介の町医者として澪たちに接し、人々からの信頼も厚い。澪の料理や用いる食材について、医師としての立場からその効用について説き、またその発言が澪のひらめきにつながることも多い。齢二十半ば。
(源斉先生)

「口から摂るものだけが、人の身体を作るのです。澪さんがついているのだ、ご寮さんはきっとお元気になられますよ」(八:P125)

おりょう:澪と芳が暮らす長屋の、向かいに暮らすおかみさん。「つる家」が繁盛しだしてから、店の接客を手伝うようになった。齢四十八。

「あたしゃ知らなかったよ。本当に美味しいものを食べる時は、無口になるものなんだね」(八:P200)

伊佐三:おりょうの亭主にして、腕の良い大工。初の棟梁仕事は両替商「伊勢屋」の普請。

太一:おりょうと伊佐三の息子。火事で身寄りが無くなり、おりょうたち夫婦に引き取られた。

ふき:「つる家」の下足番。両親を亡くし、幼い弟は「登龍楼」に置かれている。澪が「登龍楼」に乗り込み、すべてが明るみに出たことで、辛い隠密の役目から抜け出すことが出来た。澪を姉のように慕っている。齢一三。
(ふき坊、ふきちゃん)

:ふきの弟で、「登龍楼」で奉公している。齢六、七。
(健坊)

清右衛門:有名な戯作者。口は悪いが、裏表のないその言動に澪の気持ちが救われる場面も。「登龍楼」との一件以来、すっかり「つる家」の常連となった。りう曰く、「あのひとは今にもっと化けますよ」。

孝介:口入れ屋の店主。「つる家」にふきを勧めた。

りう:孝介の母。孝介がふきの一件の穴埋めとして、人手の足りない「つる家」に寄こした老婆。腰はひどく曲がっていて、歯も上下とも無いが、長いこと大手門の下馬先の茶屋に勤めていたため、その働きぶりは見事なものだった。齢七十五。
(りうさん、りうばあちゃん)

「食べる、というのは本来は快いものなんですよ。快いから楽しい、だからこそ、食べて美味しいと思うし、身にも付くんです。」(花:P198)

留吉:流山の酒屋「相模屋」の奉公人。店主・紋次郎の苦心の品、「白味醂」を売り込みに江戸に出てきた。

美緒:両替商「伊勢屋」のひとり娘。育ちの良い美しい娘で、医師の源斉を好いており、そのために縁談を壊してしまったほど。もう一人の「みお」。源斉が足繁く「つる家」に通っているため、澪に嫉妬している。

采女宗馬:日本橋「登龍楼」の店主。元は煮売り屋だったが、今では料理番付の東方大関に選ばれるほどの、江戸一番と言われる料理屋にまでのし上がった。清右衛門曰く、「生半可な悪ではない、もっと大物」で、興味は権力と金。

あさひ太夫:吉原一の花魁と言われる、翁屋の太夫。廓ぐるみで作り上げた幻の花魁とも言わてれるが…。

又次:翁屋で料理番をしており、或るひとのために、澪に料理を頼みにやってくる。齢三十半ば。

伝右衛門:吉原の大見世、翁屋の楼主。源斉先生の患者でもある。

野江:唐高麗物屋「淡路屋」のこいさん(末娘)で、澪の幼馴染み。易者・水原東西に、太閤はんにも勝る「旭日昇天」の相で、ここまでの強運の相を見るのは初めてやと言わしめた。水害により「淡路屋」は流され、その消息は分からなくなってしまった。

「澪ちゃんは私の大事な友だちやんか。親の商いは関係あらへん」(八:P92)

伊助:澪の父で、漆師。澪が八つの時に水害により命を落とした。優れた漆塗りの技を持っており、伊助の作った箸は「天満一兆庵」でも出されていた。

わか:澪の母。伊助とともに水害により命を落とした。

つる:種市の娘。一七の時に亡くなった。

嘉兵衛:「天満一兆庵」主人。度重なる心労により、澪に「天満一兆庵」の再建を託し、息を引き取った。

「才のない者には、恥かかんよう盛大に手ぇ貸したり。けど、才のある者には手ぇ貸さんと、盛大に恥かかしたり」(八:P12)

佐兵衛:「天満一兆庵」江戸店の主を任されていた若旦那。吉原通いで莫大な借財を負い、江戸店を手放して消息を絶った。

追記1:2010年1月24日(日)

「ブックサービス」によると、来月2月13日に、みをつくし料理帖シリーズ待望の三作目が発売予定のようです。あんまり急いてはいけませんが、早く続編が読みたいですね~♪

2010年2月期文庫発売予定情報(ブックサービス)

追記2:2010年2月14日(日)

どうやら発売日が一ヶ月延びたようで、「オンライン書店 本やタウン」によると、みをつくし料理帖シリーズ待望の第3弾『想い雲 みをつくし料理帖』は、3月13日に発売予定のようです。

今日の朝日新聞・読書面の「売れてる本」のコーナーで、『八朔の雪』が紹介されていました。記事によると、現在、『八朔の雪』が19刷・18万部、『花散らしの雨』が13刷・13万5千部に達しているそうです。個人的には、もっと火がついてもいいんじゃないかと思うくらいの本当に素敵な作品なので、今後もファンの人が増えていったらいいなぁと思っています。

文庫近刊情報 最新 か行(オンライン書店 本やタウン)

◎関連リンク◎

花散らしの雨 みをつくし料理帖(角川春樹事務所)

79冊目 『八朔の雪』(2009年10月11日)

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2009年10月11日 (日)

79冊目 『八朔の雪』

台風一過、爽やかな空気と秋の空。やっぱり1年の中でこの時期が一番好きです。

思索の秋。澄み渡る空気の中で、あれこれといろんなことを考えますが、それはひとまず置いておくとして、今回私が紹介する、いや是非とも紹介したいのは、秋の再読本第四弾、

『八朔の雪』 髙田郁 2009.5 角川春樹事務所(ハルキ文庫)

八朔の雪』 髙田郁 2009.5 角川春樹事務所(ハルキ文庫)

という本です。この本を知ったきっかけは、発売されてすぐに新聞に掲載された出版広告でした。

角川春樹さんが「十年に一冊の傑作」と激賞されている作品がどんなものかと興味が湧き、これまで時代小説にはなかなか手が出なかったのですが、一度読んでみようと仕事帰りに本屋さんで手に取り、通勤時に読んでみることにしました。

江戸・神田の御台所町に店を構える蕎麦屋「つる家」。大坂から出てきた澪(みお)の出した料理が客の怒りを買ってしまったところから作品は幕を開けます。

丸顔に、鈴を張ったような双眸。ちょいと上を向いた小さな丸い鼻。下がり気味の両の眉。どちらかと言えば緊迫感のない顔で、ともに暮らす芳からも「叱り甲斐のない子」と言われている。それなのに料理が絡むと、自分でも抑えようのない感情が生まれて、それが顔に出てしまうのだ。(P7)

店主の種市が作る蕎麦と酒目当ての客で繁盛している「つる家」。大坂と江戸の味の好みの違いになかなか慣れることが出来ない齢十八の澪に、種市は店で出す酒に合う一品を作ってほしいと頼むのですが…。

本書の目次を紹介すると、

狐のご祝儀―ぴりから鰹田麩

八朔の雪―ひんやり心太

初星―とろとろ茶碗蒸し

夜半の梅―ほっこり酒粕汁

巻末付録 澪の料理帖

となっていて、表題作を含む4つの中編の連作による作品です。

読み進めるうちに少しずつ澪の生い立ちが明らかになっていくのですが、幼くして天涯孤独の身となってしまった澪と、大坂でも名の知れた料理屋「天満一兆庵」の女将だった芳との親子のような結びつきの強さには、何度も胸にぐっとくるものがありました。

澪には確かに生まれ持った料理の才があります。しかし、それはいわゆる天才的というよりは、澪を取り巻く人々との強い結びつきや思いやり・情の深さ、そして叱咤激励してくれる人々の存在によって開花しているものなのだなと感じました。

感情の波が去って、澪が鼻を啜りながら顔を上げると、種市の顔深くに刻まれた皺を涙が伝っていた。はっと息を飲んだ澪を見て、種市は初めて自分が泣いていることに気付いた。袖でぐいっと涙を拭うと、照れてみせる。

「人間、生きてりゃ泣きたくなるくらいのことはあらぁな。泣いて良い、泣いて良いのさ」(P54)

苦労し、試行錯誤を繰り返しながらも、徐々に、そして着実に江戸での評判を上げていく澪に対して、それを妨害しようとするものが現れます。自分の周りの大切な人たちが傷つく姿を目の当たりにして、自分の道を諦めてしまおうと考えた澪に、思いがけない人物からの「思い」が伝えられます。

幼い日、澪は易者に「雲外蒼天」の相だと言われたことがありました。

「頭上に雲が垂れこめて真っ暗に見える。けんど、それを抜けたところには青い空が広がっている――。可哀そうやがお前はんの人生には苦労が絶えんやろ。これから先、艱難辛苦が降り注ぐ。その運命は避けられん」

「けんど、その苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望むことが出来る。他の誰も拝めんほど澄んだ綺麗な空を。ええか、よう覚えときや」(P98)

澪の行く手には、辛いこと、苦しいことが次々に起こります。しかし、澪は一人ではありません。父親のように深い思いやりのある種市、母親のようにいつも見守ってくれている芳、澪を励ましてくれる医師の源斉先生、そして澪の作る料理に時に厳しい、しかし的を射た助言をくれる侍・小松原の存在。

困難を前にしてお互いを頼りにし、たとえ心が折れてしまいそうになっても、それでも立ち向かっていく中で成長していく澪と、澪を取り巻く人々の絆や情の厚さに、何度も涙腺が緩みました。澪だけでなく、種市や芳もこれまで生きてきた中で辛いことを抱えてきており、それだけに澪の作る料理が人々を幸せにしてほしいと切に祈りたくなります。

私は時代小説にこれまで馴染みがなかったのですが、本書はとても読みやすく、情に満ちているけれどもくどくなく、その上出てくる澪の作る料理がものすごく美味しそうで、読んでいると作中の客同様、思わず生唾を飲み込んだという、本当に素敵な作品でした。

ここで朗報ですが、『八朔の雪』に続く、第二弾『花散らしの雨』が近日発売されます。

本書では明らかにならなかった、小松原が一体何者なのかということや、「天満一兆庵」再建への道筋がどうなるのか、そしてあの「太夫」との関係は、など気になることがいっぱいです。

何より澪の創作した新たな料理が、文章で味わえるのが本当に楽しみです。続編をここまで期待した作品は自分にとっては久々のような気がします。

今回再読したことで、続編を読む体制はバッチリです。自分の読みたい本の傾向は自分もある程度偏っているし、人それぞれだと思いますが、本書はこれまで時代物に馴染みのなかった読者にとっても手に取りやすい本だと思います。

澪の下がり眉も味わい深く見える素敵な装画をされているのは、多くの作品で活躍されている卯月みゆきさんです。

ちなみに、『八朔の雪』を読んだ後、あまりの読後感の良さに、著者の別の作品も読んだところ、それもすごく良かったために、髙田郁さんはすごい!と私は一躍ファンになってしまいました。髙田さんの今後のご活躍に期待しております。もっともっと作品を読んでみたいです。

頭上には今年最後の青空が広がっている。真澄の空だ。

雲外蒼天。

忘れへん。生きてる限り、絶対に忘れへん。(P251)

◎関連リンク◎

八朔の雪 みをつくし料理帖(角川春樹事務所)

『八朔の雪 みをつくし料理帖』髙田郁 立ち読み(e-hon)

版画家・イラストレーター 卯月みゆき webサイト

vol.2「八朔の雪ーみをつくし料理帖」髙田 郁(L4BOOKS)

・『花散らしの雨 みをつくり料理帖』 髙田郁 2009.10 角川春樹事務所(ハルキ文庫)

81冊目 『花散らしの雨』(2009年10月21日)

はっちの太鼓本 太鼓本だ~♪どどんがどんっ!

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2009年3月22日 (日)

68冊目 『深夜食堂』

あっ、この人はこれが好物なんやと分かったとき、急に親しみが湧いてきたり、身近に思えたりすることってないですか?食べ物に関する共感や思い出というものは、思っている以上に人間関係において重要な役割を果たしているような気がします。今回私が手にしたのは、

『深夜食堂』 安倍夜郎 2007.12 小学館

深夜食堂』 安倍夜郎 2007.12 小学館

という本です。

営業時間は夜12時から朝7時頃まで。人は「深夜食堂」って言ってるよ。客が来るかって?

それがけっこう来るんだよ。(第1夜)

繁華街の片隅で深夜にしかやっていない、小さなめしや。メニューにあるのは、豚汁定食、ビール、酒、焼酎、それだけ。それでもお客さんはやってくる、メニューになくても勝手に注文すれば、できるものならおやじが作ってくれるから。

目次代わりのお品書きには、ずらっと料理が並んでいて、その一つひとつに誰かさんのちょっとした人間ドラマが描かれているのです。一つのメニューについて描かれる、そのわずか数ページに、登場人物の喜怒哀楽や生き様が見事に凝縮されていて、それだけでも見事なのに、それに加えて出てくるメニューがどれも美味しそうで、

あなたの腹と心の満たし処

という謳い文句に偽りなしの作品です。

黒髪が美しい娘を自慢していた宮本さんだったが、娘がグレてしまい憔悴してしまう「焼き海苔」。

ボクサーのカッちゃんと、アケミさん・幼いマユちゃん親子を結び付けた「カツ丼」。

食パン持参でやってくる新聞奨学生の中島君が注文する「タマゴサンド」。

おレンさんが注文するのは、かつて息子と自分の命を救ってくれた「あさりの酒蒸し」。

こんなに素敵な人間ドラマが繰り広げられている「深夜食堂」があるのならば是非行ってみたいのですが、実際にあったとして、自分には戸に手をかける勇気がなかなか出ないかなぁと。初めて行く店ってなかなか入りづらいんですよね、だから結局「いつもの」店に食べに行ってしまいそうです。

自分だったら何を注文したいだろうか、そして自分にも何かドラマがあるのだろうかと思いながら、とてもおなかがすいてしまう作品でした。

コミックは現在3巻・第43夜まで出ています。作中で時々、柱時計の挿絵が挟み込まれているのですが、1巻で深夜0時を指していた時計が、現在午前5時まで進んでいて、店の営業時間が終わる午前7時を指したら終わってしまうのではないかと思うと、ドキドキしています。人と食べ物に纏わる機微を見事なまでに穿っている素敵な作品なので、これからもまだまだ続いてほしいです。

追記1:2009年9月21日(月)

今月、コミック4巻が発売され、第57夜まで読むことができます。そして、柱時計は午前7時まで進みましたが、巻末で5巻が11月末に発売予定と予告されていたのでほっとしました。

ちょっと前の話題になってしまいますが、今秋TBS系列(関西ではMBS)でドラマ化され、放送時間は各局ともタイトル通り、日をまたいだ深夜となっています。人間ドラマに味わいがある作品ですが、出てくる料理にも「味わい」があるのでお腹が空いてしまいそうですね。10月には深夜食堂レシピも発売されるようです。

umebonさんのブログ「マンガ食堂」では深夜食堂に出てくる料理を再現されていますが、本当にどれも美味しそうです。バターライスと豚汁は特にいいですね~♪

ドラマではどの料理が、そしてどの料理にまつわる人間ドラマが選ばれるのかも楽しみです。やっぱり「赤いウインナー」は外せないですね。

ドラマ「深夜食堂」公式サイト

深夜食堂(MBS)

・『深夜食堂の勝手口』 堀井憲一郎 2009.10 小学館

◎関連リンク◎

深夜食堂(小学館)

深夜食堂(ビッグスリーネット)

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「深夜食堂」(安倍夜郎)のビーフストロガノフ(マンガ食堂 - 漫画の料理、レシピを再現 -)

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2007年7月31日 (火)

46冊目 『いつものおむすび100』

同僚と、おふくろの味について話していたときのこと。私が母親の作ってくれるからあげが一番美味しかったなぁと言うと、故郷の九州を離れ今は遠い関西の地に住む彼はこう言ったのでした。

『塩で握ったおむすびに海苔を巻いて、ちょっと時間を置いて、しなっとしたのが一番うまかばい。』

そうそう、遠足や運動会のときのお弁当にはおむすびが必ず入っていて、そういえば少し湿った海苔の具合がたまらなく美味しかったなぁと、しみじみ思ってしまいました。そんなわけで、彼は海苔がパリッとしたコンビニのおむすびをどうも食べる気にならないそうです。私はあのパリッとした具合のも好きなのですが。そんなおむすび話で盛り上がっていた私たちにぴったりだったのが今回紹介する、

『いつものおむすび100』 飛田和緒 2004.1 幻冬舎

いつものおむすび100』 飛田和緒 2004.1 幻冬舎

という本です。本を開くと、実物大の美味しそうなおむすびが次々と現れます。頁の真ん中にで~んとおむすびの写真があり、その下には具の写真、そして材料と作り方が載っています。おむすびはその種類によって5つに分類されていて、それぞれ、

おかずおむすび

野菜おむすび

漬け物おむすび

薬味おむすび

炊き込みおむすび

となっています。とにかく美味しそうなおむすびの連続で、見ているだけでお腹がなってきます。今風のおむすびに負けじと、梅干や塩のおむすびも存分にその魅力を輝かせていました。

私は実家でよく食べた、大根の葉とちりめんじゃこを炒めたものをご飯と混ぜて、韓国のりで巻いたおむすびが一番好きです。いやぁ、おむすびもなかなか深いものだなと感心しながら、相変わらずお腹をならせて今日も頁を捲っています。

にぎりたてのおむすびはあったかい。

手のぬくもりがいっぱいに詰まっています。

そしてなぜだかわからないけどおむすびを食べると

じんわり元気が出てきます。(P3)

◎関連リンク◎

いつものおむすび100(幻冬舎)

・『毎日のみそ汁100』 飛田和緒 2003.5 幻冬舎

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2006年6月21日 (水)

15冊目 『動物の「食」に学ぶ』

人間が生活していく上で、その基本とされている「衣食住」。人間の三大欲求である、「食欲・性欲・睡眠欲」。「食べる」ことは、私たち人間にとって、決して切り離すことの出来ない、まさに生きることと直結している行為であるといえます。現代の日本社会を見てみると、飽食の時代とも言われるように、一見豊かな食生活が私たちの目の前に存在しているようでありながら、その一方で、「過食・拒食」「孤食」「奇食」「偏食」といった、食に関わる人々の課題や苦悩も同時に浮かび上がってきているのではないでしょうか。食育の推進など、「食」という行為そのものに社会的な関心が高まってきているように感じる中で、私が今回手にしたのは、

『動物の「食」に学ぶ』 西田利貞 2001.8 女子栄養大学出版部

動物の「食」に学ぶ』 西田利貞 2001.8 女子栄養大学出版部

という本です。まず目次を見てみると、

第一章 食を決めるもの―食物ニッチ

第二章 遺伝子の散布―食べられることは増えること

第三章 味覚の不思議―なぜ甘いものに惹かれるか

第四章 薬の起源―生物間の競争が薬を生む

第五章 肉の獲得と分配―ごちそうを賢く手に入れる

第六章 変わった食べ物いろいろ

第七章 食の現在―ヒトの〝食べる〟を考えよう

となっています。著者である西田さんは、チンパンジー研究の第一人者として知られていて、『動物の「食」に学ぶ』の動物は、西田さんが長年研究されてきた、チンパンジーやゴリラなどの霊長類を主役として、紹介または解説されています。

著者は「はじめに」で、なぜ水の音は快く聞こえるのか、ということを取り上げて、水の音を快く聞こえる個体の方が、生きのびて子孫を残すことが出来たという、そのような個体が自然に選択されてきた、自然淘汰されてきた結果であるということを述べています。

本書では、ヒトを含む動物と植物の間の関係について述べられていて、その記述には多くの驚きが詰まっていました。動物が子孫を残すために厳しい生存競争にさらされているのと同じく、植物もまた子孫を増やすために様々な工夫と進化を繰り返してきました。植物の中には、生長の源となる光合成を行なう葉を、動物に食べられるのを防ぐために、毒物を生産しているものもあります。一方で、より広い範囲に種が広がっていくためには、動物や昆虫に運んでもらう必要があり、食べられては困る植物が、唯一食べてもらうために、種子に果肉をまとわせた果実を作ってきたということも述べられています。果肉だけ食べられて、種子をその場で吐き捨てられては何のための努力か分からなくなってしまうので、種子をそのまま呑み込んでもらえるように、果肉と種子は分かれにくくなっているとのことでした。最近では人間がより食べやすいように「種なし」の果実も品種改良によって生み出されていますが、植物からすれば、種がないなんて本末転倒じゃないかと、抗議されそうですね。

よくテレビ番組などの罰ゲームで、サソリや蜂、いも虫など、昆虫を食べさせられる光景を見かけますが、本書をきっかけに、昆虫を食べるということについて考えさせられました。著者によれば、6000万年前の霊長類の先祖は食虫目であり、昆虫はわれわれの主食だったというのです。昆虫食は野蛮なものだというのは欧米人の偏見からもたらされていて、日本でも蜂やイナゴなど、昆虫は昔から立派な食材であったと著者は述べています。人口爆発の宇宙船地球号がこれから乗組員全員の生存を図っていくためには、昆虫という食材を決して“無視”できないとも聞きます。(虫だけに…)

さて、私が一番面白いなと思ったのは、「カニはなぜうまいのか」について記述された箇所でした。マツバガニやタラバガニ、伊勢エビなど、人間との付き合いがそれほど古くないと思える、カニやエビをあんなに美味しく感じるのはなぜなのか。なぜなんでしょうか。著者はまず、「キュート・レスポンス」というものについて説明します。

「キュート・レスポンス」というのがある。「かわい子ちゃん反応」とでも訳せばよいだろうか。子供の姿を描くとき、極端に頭部や目を大きくし、胴体や腕脚を短くすると、たいへんかわいい感じになる。現実に存在しないプロポーションのほうが、実物より魅力的になるのだ。(P193)

その上で、著者が、カニやエビを非常に美味しく感じる理由として持ち出したのが、「超正常刺激」なるものでした。「超正常刺激」とは、自然界にある正常の刺激より強い刺激のことです。人間はカニやエビに含まれているアミノ酸を美味しいと感じていて、その美味しさを感じる度合いの最低ラインは引かれていても、上限はなかったのではないかというのです。そもそもその食材にもともと決まった味があるわけではなく、人間が「甘味」や「苦味」などを感じるのは、脳によってなのです。タラバガニや伊勢エビはあまりにも脳が美味しく感じすぎて、一昔前の流行語でいえば、「想定の範囲外」の美味しさを感じてしまう食材なのではないかということでした。

この本を読んで、人間が何かを快く感じることは、私たちが生きのびて子孫に命を繋いでいくことと密接に関わっているんだなということを強く意識させられました。

◎関連リンク◎

財団法人日本モンキーセンター 所長室

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動物の「食」に学ぶ(ためいき色のブックレビュ-)

動物の「食」に学ぶ(CHRONOFILE)

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2006年4月11日 (火)

9冊目 『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』

「あなたの好きな食べ物は何ですか?」

そう聞かれたら、みなさんは何と答えますか?「寿司」でしょうか、「焼肉」でしょうか、それとも「ラーメン」でしょうか。もちろん人それぞれに、私はこれだ、という食べ物があると思いますが、ここで忘れてはならない食べ物があります。そう、「カレーライス」です。

学校給食で待ち遠しかったカレーライス。家庭では今やおふくろの味となっているカレーライス。子どもから大人まで、多くの人が愛してやまないカレーライス。一体どうして日本人はこんなにカレーライスが好きなのでしょうか。今回紹介するのは、まさにこの問いをタイトルとして掲げたこの本、

『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』 井上宏生 2000.11 平凡社(平凡社新書)

日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』 井上宏生 2000.11 平凡社(平凡社新書)

です。目次を見てみると、

プロローグ カレーとはいったいなんだ?

第一章 カレーは文明開化のクスリだった

第二章 日本でカレーはどう変身したか

第三章 カレーライスの先駆者たち

第四章 日本の軍隊はカレーが好きだった

第五章 奇跡の再生と百花繚乱のカレー

エピローグ カレー好きな日本人の不思議

となっており、日本におけるカレー史を紐解きながら、日本人とカレーとの、切っても切れない強い結びつきに迫っていく内容となっています。

さて、カレーライスは一体いつごろ日本に伝わったのでしょうか。本書によれば、明治維新(1868年)から数年が経った1972年に出版された、『西洋料理指南』『西洋料理通』という本でカレーが紹介されていることから、この頃にカレーが伝わっていたのは確かなようです。

みなさん、ここで重要な事実に気づきましたか?重要な事実とは、カレーは西洋料理として日本に伝わったということです。今ではカレーの本場がインドであることはほとんどの人が知っていることだと思いますが、日本にカレーを伝えたのはインドではなく、イギリスだったのです。つまりカレーは、インド→日本というルートではなく、インド→イギリス→日本というルートによって、間接的に日本にもたらされたのです。よく、日本のカレーはインドのカレーとは別物だということを聞きますが、それもそのはず。日本に紹介されたカレーは、インドで味わったカレーの味が忘れられず、本国イギリスでも食したいと、イギリス人が独自に作ったイギリス風のカレーだったのです。

明治といえば文明開化の時代であり、脱亜入欧の思想のもと、西欧諸国に追いつこうと、西欧の文化や生活が積極的に取り入れられた時代です。著者は、もしもカレーが当時、インドの料理として日本に紹介されていたら、これほどまでに日本人に受け入れられただろうかと読者に疑問を投げかけていますが、これには思わず、う~むと考えさせられました。

西洋料理として日本に伝えられたカレーでしたが、それは私たちに馴染みのある今のカレーとは少し違うものだったようです。先ほどの『西洋料理指南』のカレーの作り方を見ると、その材料として、ネギ生姜ニラエビタイカキ赤蛙といった食材が挙げられています。私たちに馴染みのある、じゃがいも、人参、たまねぎは出てきません。これらの食材がカレーの材料として用いられるようになったのは、もう少し後になってからのようです。

カレーといえば、なにもカレーライスだけではありません。今私たちの周りには、カレーうどんやカレーパンが人気のメニューとして存在しています。今では当たり前となっているこれらのメニューですが、その誕生の影には様々な苦心と創意工夫があったようです。

カレーの人気が高まっていくにつれて、そば屋やうどん屋からは客足が遠のくようになっていきました。店が存亡の危機にさらされる中で、ある店主が「ご飯にカレーが乗っているなら、うどんにカレーが乗ってもおかしくないはずだ」と考え、試行錯誤の末、カレーうどんを誕生させました。時は1904年ごろ、東京・早稲田にあった「三朝庵」という店で、その後、カレーうどんが人気となり、店はにぎわいを取り戻したそうです。

明治時代に伝わったカレーは、その後日本で着実に人気を広げていきましたが、戦争による負の歴史も背負ってきました。

ちなみに、太平洋戦争中、陸軍は英語を敵性語として徹底的に排斥している。その影響はわれらがカレーにもおよんでいる。長年、陸軍はカレーを「カレー汁」と呼んでいたが、戦時中、「辛味入汁掛飯」と呼ばれるようになった。カレーの三文字が敵性語だったからである。ただし、海軍では終戦まで「カレー」と呼んでいた。ドイツ流の陸軍が厳格だったのに比べ、イギリス流の海軍はリベラルだったからだといわれている。

ここ数年、札幌発のスープカレーの人気が日本全国に広がりました。カレー好きの日本人が、次は一体どのような新たなカレーの美味しさを見つけるのか、楽しみに待ちたいと思います。

追記1:2006年4月13日(木)

最近、緒形直人さんが出演しているハウス食品「北海道ホワイトカレー」のCMをよく見かけます。スープカレーの次はホワイトカレーがブームになるんでしょうか。白いカレーというのは、なんともインパクトがありますね。恐るべし北の大地。

北海道発祥のホワイトカレーはもう食べた?(Excite)

北海道ホワイトカレー(ハウス食品)

追記2:2006年4月13日(木)

2005年の大ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』と、今回紹介した『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』に共通することとはなんでしょうか?一つは新書であること。新書は出版界で現在、最も話題性があり、数十社が乱立する戦国の様相を呈しています。そしてもう一つはタイトルに「なぜ」があること。このことについて書かれた記事を本よみうり堂で見つけたので、ここにリンクしておきます。

なぜ多い?「なぜ」と問う本(本よみうり堂)

追記3:2006年4月13日(木)

中国といえば広く深い食文化を育んできたという印象がありますが、カレーに関して言えば、これまであまりメジャーな食べ物ではなかったようです。その中国に日本式カレーを広めようと、日本の各食品メーカーが次々と中国市場向けの商品を開発しているそうです。下の記事は二つとも2005年のものですが、その後果たして日本発のカレーは中国で普及していっているのでしょうか。気になるところです。

中国味の家庭用カレー発売(NIKKEI NET)

「レトルト文化」、中国で広げたい(NNA)

追記4:2006年4月14日(金)

私には忘れられないカレーがあります。何という名前の商品だったかは分かりませんが、その商品のCMだけは今でも鮮明に憶えています。木村佳乃さんがカレーを作りながら、「♪10分でカレーをつくろ~よ」と歌っているCMです。それを手がかりにして検索してみたところ、ハウス食品の「カレークイック」であることが判明しました。

カレークイック うまみとコクの中辛(ハウス食品) カレークイック スパイシーな辛口(ハウス食品)

あれ、すごく美味しかったんですよ。商品は調理時間を売りにしていたようですが、野菜(特にじゃがいも)がシャキシャキとした触感のまま味わえるカレーというのはすごい新鮮で、その当時は実家にいたのですが、夕食がカレーの時、何度かそのカレーを食べてました。結構好きだったので、出来ることならもう一度食べてみたかったのですが…。食べた記憶も結構前ですが、いつごろ見かけなくなったのかも正直思い出せません。

そこでさらに検索してみたところ、「カレークイック」は1999年の初めごろに発売され、2000年1月に製造中止になったそうです。そうやったんや…、実質1年くらいしか発売されてなかったんですね。

メーカー(ハウス食品)の評価としては、

『当初は手軽さで評価されたが、ネーミングやパッケージがレトルトカレーと間違えられることが多く十分浸透しなかった』

そうです。検索していると、美味しかったという意見がある一方で、美味しくない、これはカレーじゃない、という意見もありました。ん~、でももう一度食べたいな~。

さてさてホワイトカレーは1年後どうなっているのでしょうか。検索中、面白いページを見つけたのでリンクしておきます。おっと、ここの記事、相当長くなってきたな~。さすがカレー!

復活してほしいもの(食べ物)

追記5:2006年4月25日(火)

『めざましテレビ』(フジテレビ系列)で、めざましどっち?というコーナーがあるのですが、4月17日の放送の質問が、「カレーのつけあわせといえば…福神漬け or らっきょう?」というものでした。結果は福神漬けが86.6%(32,456人)、らっきょうが13.4%(5,009人)で、福神漬けの圧勝でした。番組の調査では、外国の人はらっきょうを選んだ人が多かったそうです。私はらっきょうが苦手なので、福神漬けを選びます。

今日、4月25日の『おはよう朝日です』(朝日放送)で、「カレー消費量日本一?鳥取カレー三昧の旅」という特集がありました。私はこれまで、鳥取に対してカレーのイメージは全く無かったのですが、調べてみると、鳥取市は一世帯当たりのカレーのルー購入量が全国一なんだそうです。特集では、カレーンジャーという鳥取のカレー文化を全国に発信しようと活動している人たちが出てきました。鳥取は全国有数のらっきょうの生産地でもあります。

めざましテレビ(フジテレビ)

鳥取カレー三昧の旅(朝日放送)

鳥取カレークラブ カレーンジャー

鳥取カレー倶楽部発足 "食文化"全国に発信(日本海新聞)

砂丘らっきょう(とっとり砂丘王国)

追記6:2006年8月3日(木)

4月にここで取り上げた「北海道ホワイトカレー」が、ここに来て熱気を帯びてきています。なんでかなと思ったら、これまで北海道と西日本限定での販売だったそうです。全然知りませんでした。8月7日から全国発売されます。

どうしても食べたくて、一度だけレトルトの「北海道ホワイトカレー」を食べました。口当たりはとてもまろやかで、辛さも控えめでした。見た目は本当にシチューそっくり。なかなか美味しかったですが、個人的には普通のブラウンのカレーがやっぱりいいなと思った次第です。

北海道で白いカレー人気 7日から全国発売へ(SANSPO.COM)

追記7:2006年9月17日(日)

追記5で、『めざましテレビ』(フジテレビ系列)の、めざましどっち?というコーナーのことを取り上げましたが、9月4日の放送では、「カレーにかけるとしたら…しょうゆ or ソース?」という質問が出されていました。結果はしょうゆが26.5%(9,417人)、ソースが73.5%(26,067人)で、ソースが全体の約4分の3の支持を集めていました。

驚いたことに、カレー専用のしょうゆ、ソースというものまであるようです。個人的には、どちらもかけないですね。余談ですが、子どもの時に、ごはんに海苔を敷いて、その上にカレーをかけて食べていたことをふと思い出しました。

めざましテレビ(フジテレビ)

「家カレー」もツウの味に! カレー専用ソース(Excite)

カレー名人のウスターソース(蛇ノ目食品 廣田徳七商店)

洋食屋さんのカレー醤油(湯浅醤油)

◎関連リンク◎

日本人はカレーライスがなぜ好きなのか(平凡社)

カレー博物館(横濱カレーミュージアム)

カレー資料館(ハウス食品)

スープカレーの歴史(ハウス食品)

こんなのいいね! 北海道ホワイトカレー(ハウス食品)

カレーの街よこすか(神奈川県横須賀市)

華麗なるBIT CURRYの世界

カレー天国(BRUTUS ONLINE)

『食』に関する調査資料(農林中央金庫)

カレーライス(新書マップ)

・『カレーライスと日本人』 森枝卓士 1989.2 講談社(講談社現代新書)

・『カレーライスの誕生』 小菅桂子 2002.6 講談社(講談社選書メチエ)

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2006年1月21日 (土)

1冊目 『たべもの語源辞典』

先日、仕事の帰りに久々に図書館に行きました。本屋へ行くときは、この本を買いに行こうという、はっきりとした目的を持って行くことが多いのですが、図書館へ行くときの気分と言ったら、もうこれはアドベンチャーです。はっきりとした目的の本も無いまま、大量の書籍を目の前にするワクワク感。街なかの宝探しとでも言いましょうか。

で、図書館にはとにかくいろんなジャンルの本があるので、自分の中では、

・普段は買いそうも無い、自分とはあまり縁の無い本を選んでみる

・値段が高くて、手が出せない本を選ぶ

という意識が働いているようです。さてさて記念すべき1冊目は、

『たべもの語源辞典』 清水桂一 1980.7 東京堂出版

たべもの語源辞典』 清水桂一 1980.7 東京堂出版

です。これは値段というよりは、興味深かったので借りてきました。

もともと食文化にも、いろいろな語源にも関心があったのですが、この2つを併せ持つ、このような書籍があることを知らなかったので、思わず『おっ、これは面白そう』と借りました。

著者のまえがきによれば、この本が発刊された当時において、このようなたべものに焦点をあてた語源の本は、それまでになかったそうですが、それから20年以上が経過した現在においても、このような本はないのではないかと思います。

さて、その内容ですが、分類目次を参照すると、

【鳥・獣・魚貝類】 鯨、鶏、河豚など(アオヤギ~ワカサギ)

【穀・野菜・果実・藻・茸類】 牛蒡、西瓜、若布など(アサツキ~ワラビ)

【加工食品・菓子・酒・調味料】 饂飩、高野豆腐、醤油など(あかふくもち~らくがん)

【調理法】 生作、照焼、煮物など(あさじやき~りきゅうに)

【料理名】 おでん、刺身、筑前煮など(あさじやき~りきゅうに)

【用語・用具】 重詰、丼、弁当など(おしき~ほうちょう)

となっていて、これらの言葉が分類とは関係なく、すべてひっくるめて五十音順に列記されています。自分の思いつくままに読んでみましたが、これがなかなか面白い&へぇ~の連続でした。

その一部を紹介すると、

・きんぴらごぼう【金平牛蒡】

金平(きんひら)とは強きもののたとえにいう。坂田金時の子に金平という強い者がいて、源頼義の四天王の一人であった。この名をとって、牛蒡の固く辛いことを表した。また金平糖(こんぺいとう)というのも実はきんひら糖といった。(金平糖の砂糖の甘みが強いことから)

きんぴらごぼうとこんぺいとうに共通項があったのには驚きました。ちなみに、ごぼうを食べるのは世界で日本人だけだという記述もありました。他の国では薬として使われることがあるそうです。

そういえば以前、戦時中に日本軍が欧米人捕虜にごぼうの料理を食べさせて、戦後、木の根を食べさせる虐待行為があったと非難されたという話を聞いたことがあります。ある国では伝統的な文化でも、他の国では野蛮と見なされるということは現代でもまだまだあるようですね。

この前、「みたらしだんご」を漢字で書くと?というクイズをテレビでやっていて、正解は「御手洗団子」だったのですが、その由来もちゃんと記述されていました。

たべものに関する語源を知ることで、食がより身近なものになるのではないかと思います。

◎関連リンク◎

たべもの語源辞典(東京堂出版)

語源由来辞典

・『西洋たべもの語源辞典』 内林政夫 2004.9 東京堂出版

・『たべもの起源事典』 岡田哲 2003.2 東京堂出版

・『世界たべもの起源事典』 岡田哲 2005.4 東京堂出版

・『語源海』 杉本つとむ 2005.3 東京書籍

・『日本語源大辞典』 前田富祺 2005.2 小学館

・『ことばの由来』 堀井令以知 2005.3 岩波書店(岩波新書)

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